ブレア回顧録〈上・下〉 トニー・ブレア著/石塚雅彦訳 ~政治家の理念と言葉の大切さを再認識させる
もう一つの特徴は、そうした問題は現在も続いている問題であるとの認識から、具体的な政策提言を行っていることだ。「あとがき」と、新たに書き加えられた「ペーパーバック版の序文」で最近時点までの世界の政治情勢を分析している。この二章だけでも十分に読むに値する。
本書を魅力的にしているのは、世界的な危機に直面する中で「悲観論は見当違いであり不必要である」と“楽観論”で終始していることだ。その考え方に基づき各章で展開されている分析や主張が、この本をますます価値あるものにしている。
本書を読み、改めて政治家にとって理念と言葉がいかに大切かを確認させられる。それにしても、わが国に理念と言葉を持った政治家はいるのだろうか。
Tony Blair
1953年英国エディンバラ生まれ。83年英下院議員に初当選。94年労働党党首に就任し、97年5月から2007年6月まで英国首相。退任後、米、露、国連、EUの四者代表中東特使としてパレスチナ国家成立の準備作業に携わっている。
日本経済新聞出版社 上3990円 上536ページ
日本経済新聞出版社 下3990円 下503ページ
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら