スーツの青山、らしくない「モード服」に本気の理由 外部人材を起用、新ブランドでイメージ大刷新

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デザインもシンプルすぎず、工夫を凝らした商品に仕上げている。例えば、ジャケットのフロントラインはS字やC字に曲線を描き、非対称のデザインにしているほか、ジャケットコートには半円形のポケットを採用している。

デニムのような薄い青色のコートやレザー、織って模様を描くジャカードなど、素材や色に関してもこだわった。

オーバーサイズのシャツなど、従来のスーツとは異なるシルエットを提案している(記者撮影)

日々の着回しも意識している。トップスとボトムスのセットアップとして全身コーディネートを楽しめるほか、丈の長さが異なる2種類のスカート、ジャケットとベストを重ねるコーディネートなども提案する。

どの商品も従来の青山らしくないデザインだが、機能面では同社の強みを発揮している。ジャケットには洗濯機で洗えるウォッシャブル素材が採用されているほか、ストレッチ機能や静電気を抑える放電テープといった、洋服の青山やスーツスクエアのスーツでおなじみの機能が備わっている。

ブランドのディレクターを務めるのは黒石奈央子氏。カジュアルブランド「AMERI(アメリ)」などのディレクターを務め、ヴィンテージアイテムを取り扱うセレクトショップ「アメリ ヴィンテージ」も立ち上げている。

黒石氏はこれまで、スーツなどのオフィスウェアを監修したことはなく、「人生でオフィスウェアをほぼ着たことがない」という。今回は商品の生地からシルエット、裏地やボタンの細部まで監修した。黒石氏は「(職場という)縛られたルールの中で自分らしいファッションを楽しめるオフィスウェアを提案したい」と意気込みを語っている。

オフィスウェアを買わない層にアピール

青山がスーツになじみのない黒石氏を起用したのは、トレンドに敏感な20~30代の女性へのアプローチを狙っているからだ。

黒石氏は直近、パナソニックのヘアドライヤーのタイアップ動画に出演するなど、美容とファッションの分野で影響力を持つ(記者撮影)

もちろん、青山もターゲット層に向けた服を作ることはできるだろう。しかし、従来のスーツにとらわれない商品を企画するのは、外部の人材でなければ難しい。

黒石氏は20~30代女性向けのブランドを立ち上げた実績があり、インフルエンサーとしての顔も持つ。

インスタグラムのフォロワー数は29万人(9月時点)。黒石氏を通じて、普段オフィスウェアを買わない層にも青山を知ってもらう狙いがある。

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