メールで気軽に「PPAP」を使っている人のヤバさ 「パスワードは別送します」が相手に強いる負担
一度広まってしまった商習慣を変えるという意味では、PPAPは他の習慣に比べて変化が速いとも言えるが、まだまだPPAPのメールは流通している。IT業界はメールや暗号化への関心自体が高いため、PPAPが廃止すべき習慣であることはもはや周知の事実になっている印象がある。
ただし他の業界では、脱PPAPはそれほど知られておらず、それどころか「これからPPAPをやろう」という企業もあるくらいだ。他の業界での脱PPAPの露出を高めていく必要性を痛感している。
脱PPAPには「代替手段が必要」の思い込み
「脱PPAPのためには代替ソリューションがなければならない」という思い込みもあるようだ。しかし実際は、平文でメールを送っても同じことなのだから、単純にやめてしまえばよいだけなのだ。
代替ソリューションの議論を始めると無限に時間が取られる。検討に疲れた挙句、「現状のPPAPを変えなくてもいいのではないか」という結論に陥りがちだ。もし代替ソリューションを選定できたとしても、往々にして、かえって受信者の手間が増えたという声も聞く。
PPAPは社内規則で決められていることがほとんどだが、PPAPのメールを大量に受信して困っている現場の従業員と、社内規則を決めたりシステム導入をしたりする立場の従業員との間の温度差も、脱PPAPが進まない原因だ。
さらに、PPAPのメールで困るのが主に受信者側であるのに対して、PPAPでメールを送るかどうか決めるのが送信者側である点も、問題解決を遅らせている。その意味では、多少の軋轢は生じても、受信者側が受け取り拒否をするという選択がもっと広がってもよいのではないかと思う。
「PPAPの代替手段は?」とよく聞かれるが、まずはメールの添付ファイルを平文のままで送ることが基本になる。同時に、もともとPPAPで送るべきではない機密性の高いファイルについては、受信者とどう共有するか、PPAPの代替手段としてではない位置づけで検討すればよい。
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