急拡大の「スリープテック」気になる進化と現在地 スポーツ界などで導入進むもデータ活用は途上

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具体的には、額と耳に貼り付ける軽量のセンサーと、スマホよりも小さい脳波測定ウェアラブルデバイスを用いて、脳波と血中酸素ウェルネスを計測。収集したデータをAIで解析し、評価レポートとしてまとめてくれる。

「専門機器を使用する場合と同じく、睡眠中の脳波データを取得するので、心拍計や加速度センサーで睡眠状態を予測するスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスよりも高い精度で睡眠の質が読み取れる」と、同社の担当者は説明する。

普段寝ている環境において、2晩計測するだけで睡眠の質を可視化できるという点が画期的だ。在宅でも手軽に睡眠データが収集できるので、収集できるデータの量が増えることも期待される。同社によると、健康経営を目的とした利用のほか、ある国立大学の医学部では睡眠と運動の関係を調査するためにも用いられているという。

インソムノグラフの計測イメージ
InSomnografの計測イメージ(写真:S’UIMIN提供)

スリープテックは年々進化する一方で、製品やサービスが急激に増えたことで玉石混淆の状態になり、その質を疑問視する声も出始めている。そこで国内では、経済産業省の「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」に準拠する形で、エビデンスを評価する「スリープサポート認証制度」がこの7月にスタートした。

運営する一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会によると、評価の対象は基本的に、医療機器や健康食品類を除く、ヘルスケア領域で幅広く提供されている製品やサービスだ。ウェアラブルデバイスや睡眠検知デバイスなどのハードウェア、それらで収集したデータを分析するAIやソフトウェアなども対象にしていく予定だという。

同協議会は、「大手事業者やアカデミアなどの専門家が中心となり、制度を通じて睡眠に関する正しい情報発信や普及啓発も行っていく」としている。

とくに睡眠不足大国と言われている日本では、スリープテックのニーズは大きい。その信頼が担保された形で、スポーツやフィットネスで使われるツールやアプリへの搭載が当たり前になり、より健康的な体づくりができるようになってほしいものだ。

野々下 裕子 テックジャーナリスト

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ののした ゆうこ / Yuko Nonoshita

神戸を拠点に国内外のテック系イベントならびにカンファレンスの取材、インタビュー、リサーチなどを幅広く行う。オンラインメディアを中心に取材記事や連載コラムを多数執筆。主な注目ジャンルはデジタルヘルス、ウェアラブル、モビリティ、ドローン、スマートシティ&ホーム、AI、スタートアップなど。「ウェアラブルコンピュータ研究開発機構」理事。

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