インフレを甘く見ている人は10年後に悲劇を見る 「日経平均10万円」が将来は通過点となる根拠

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1980年代から90年代初頭に日本の台頭を抑えるために、中国・韓国・台湾の経済をサポートしたアメリカは、現在は方針を変更して、中国の台頭を抑えるために、日本を再度強化する方針をとっています。

その結果、半導体だけでなく通信・防衛などの分野も日本企業の位置づけが急速に高まっています。株式市場はそれをすでに一部織り込み始めていますが、これは高度経済成長に入る前の朝鮮特需の入り口にも当たらないレベルの評価だと考えます。

朝鮮特需でも潤ったのは一部財界のみで、当初は利益が労働者にまで還元されてはいませんでした。それが本格的に労働者に還元されるのにはタイムラグがあるのです。つまり、今回も企業が利益を得て株価は上昇していますが、賃金は上がっていないと言われますが、今後は利益が労働者に還元されてくるでしょう。

資産形成に対する意識改革は必須

経済がデフレからマイルドなインフレに向かう中、資産運用で大切なのは資産の一部をインフレヘッジ機能のある資産に振り向けることです。デフレ時代に重要だったコツコツ型の積立預金では、インフレによる目減りで、倹約して貯蓄した努力が十分報われない可能性があります。

戦後、日本の物価は5年間で100倍になりました。日本のような先進国で当時のようなハイパーインフレは想定できませんが、円安によって海外旅行をしている人たちがすでに体験しているように、インフレは現在合理的に計算される以上に、体感では大きくなる可能性があります。

インフレ下での資産形成は預金や債券などの積立を中心としたインカムゲイン重視から、インフレヘッジ機能がある株式などトータルリターンを重視した投資を行う必要があります。日本人は資産形成に対する考え方の根本を変える必要が出てきているのです。

トータルリターン重視で株式などに投資した場合、短期的には値下がりリスクがあります。そのようなリスクはある程度避けようがないものとして受け入れ、長期で資産形成をすることが必要なのです。一方、バブル崩壊後の日本のように、長期にわたって低迷する市場に投資をすることは避けなければなりません。これは株式という資産特有のリスクというにはあまりにも大きなリスクだからです。

つまり、インフレヘッジ機能のある資産への投資と言っても極端に割高な資産への投資は避けなければなりません。その意味で日本株は極端な割高状態にはなく、長期的には上昇が期待できる資産であると考えられるのです。

河北 博光 ファンドマネジャー

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かわきた ひろみつ / Kawakita Hiromitsu

ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン株式会社シニアポートフォリオマネージャー(日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)。ニッセイアセットマネジメント株式会社、シンガポールのAPSアセットマネジメント日本株CIOなどを経て現職。2019年Citywire Asiaが選ぶベスト日本株マネージャー10名の一人にも選出。海外の有力な投資家を直接知る数少ない日本株ファンドマネージャーの一人。著書に『株主に響くコーポレートガバナンス・コードの実務』(共著、同文館出版)、『世界標準の資産の増やし方』(東洋経済新報社)がある。

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