株急落でも政府の脱円安「利上げ容認」は続くのか 日銀「タカ派転換」の確度が「円買い」を左右する

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ドル/円相場を分析する世界において、今までは「日米金利差」と言っても、その実態は「米金利」の話でしかなかった。無意識のうちに円金利は微動だにしないものという前提で、FRBの政策運営を考えた上での方向感が議論されることがほとんどだった。

しかし今後、円金利の上昇によって日米金利差が顕著に縮小するならば、それは歴史的にも珍しい非常に新味のあるテーマである。直情的な為替市場では大いに注目される価値があるし、実際にされているのが現状だろう。本当の意味での「日米金利差」が材料視される局面とも言える。

「日銀は変わった」で円買いはさらに増えるのか

今回の情報発信を2013年4月の黒田総裁着任時のレジームチェンジと重ねる向きも多いのではないか。当時は今とは逆にタカ派からハト派へ「日銀は変わった」という認識が強まり、一気に円安・株高へ傾き、その動きが約2年程度続いた。

今回も同様の雰囲気は感じる。象徴的にはIMM通貨先物取引などに映じられる投機的なポジションにおいて円買いの積極化が確認されるかに着目したい。

その兆候は少しある。7月31日会合直前のIMM通貨先物取引では円ショート(円売り)の巻き戻しが進む傍らで、実は円ロング(円買い)の積み増しも進んでいた。ちなみに7月23日時点の円ロングは51.73億ドルで4カ月ぶりの高水準である。

この時点で日銀の利上げ織り込みは少数派ではあったものの、量的引き締め(QT)は100%織り込まれ、利上げを見込む向きも少しずつ増えるような状況にあった。

今後、「日銀は変わった」という認識が定着した上で、円金利の先高観を見込んで円ロングが積み上げられる動きが継続するのかどうかは見通し上、注目したい点である。

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