鉄道車両を動かすシステムは見えない「小宇宙」だ 一部でもトラブルがあると全体が機能しない

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この「鉄道はシステム」という考え方は、鉄道技術の専門書でたびたび記されていることであるが、一般の方にはわかりにくいであろう。なぜならば、「システム」という言葉は、「システムキッチン」や「システムバス(浴室)」のように、われわれの家庭の設備の名前に使われているものの、その意味は広く知られていないからだ。

そこで今回は、時計やオルゴールを例に挙げ、鉄道がシステムであることを述べる。身近な乗り物である鉄道を見る目が変わる話としてお楽しみいただけたら幸いである。

時計とオルゴール

まず、時計の話をしよう。時計の一種である機械式時計は、約100点におよぶ部品によって構成されており、歯車をふくむ多くの部品が連動し合って文字盤の針を動かし、時間を示している。

次に、オルゴールの話をしよう。オルゴールの一種であるシリンダーオルゴールは、箱を開けるとシリンダーと呼ばれる円筒が回転し、同じ楽曲を繰り返し演奏する構造になっている。シリンダーについたピンが櫛形の金属板に当たると音が鳴り、シリンダーが1回転すると1曲の演奏が終わる。

ここまで説明した機械式時計とシリンダーオルゴールは、複数の部品が連動し、目的の「機能」を果たしているという点で共通している。

同じ視点で、鉄道を見てみよう。

鉄道には、それを支える多くの施設や設備があるだけでなく、その運用やメンテナンス等を行う職場があり、それぞれで働く人がいる。また、これらは互いに連携し合うことによって、列車ダイヤと呼ばれる輸送の計画を示す図表にしたがって列車を動かし、人や物を運ぶ「機能」を果たしている。

こう見ると、鉄道は、先述した機械式時計やシリンダーオルゴールに似ている。いずれも、多くの要素が連動または連携して、目的の「機能」を果たしているからだ。

また、鉄道の列車ダイヤは、シリンダーオルゴールのシリンダーに似ている。いずれも発揮する「機能」の計画を刻み込んだものであり、コンピューターを動かすプログラムと同じような役割を果たしているからだ。

鉄道の列車ダイヤは、曜日や月などによって変わることがあるが、そのことを除けば基本的には毎日同じリズムを刻むのを繰り返している。この点は、シリンダーオルゴールが同じ楽曲を繰り返し演奏する様子と似ている。

以上紹介した機械式時計やシリンダーオルゴール、そして鉄道は、それぞれが「システム」であるという点で共通している。

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