時代劇の作り方 能村庸一・春日太一著

時代劇の作り方 能村庸一・春日太一著

「水戸黄門」が終わるとテレビから時代劇の枠が完全に消える。フジテレビ入社から半世紀、能村庸一氏ほど時代劇制作の最前線に立ち続け、その消長とともに生きてきた人はいない。しかも「鬼平犯科帳」「藤枝梅安」「剣客商売」「御家人斬九郎」など時代劇の歴史に燦然と輝くシリーズを作り続けた。時代劇との向き合い方、制作余話、俳優や監督などの思い出や京都の撮影所への賛辞(オマージュ)。現場のさまざまな苦労と喜びが飾りけなく語られる。

臨場感あふれる現場論にとどまらず、視聴率を取らねばならぬ編成との丁々発止も面白い。深みのある番組作りはこのようにして初めて可能になったのだと知れば、時代劇チャンネルやビデオを見る楽しみがいや増してくる。時代劇は貴重な日本文化である。制作現場の火を絶やしてはならないという熱い思いが伝わってくるのみならず、苦境にあって腹をくくり、成果主義とは一線を画す仕事ぶりに多くを教えられる。(純)

辰巳出版 1365円

  

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