低意欲の「寝そべり族」に「衝動的な退職」、流行語から読み解く中国Z世代の今 熾烈な競争の反動で極端な行動に出てしまう?

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進学と就職にかかる大きすぎるプレッシャー

「躺平」と「裸辞」に共通している問題として、中国でしばしば議論になることの1つは、厳しすぎる受験戦争の反動ではないか、という点だ。

中島 恵(なかじま・けい)
1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経てフリージャーナリスト。中国、香港など主に東アジアの社会事情、ビジネス事情についてネットや書籍などに執筆している。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』『日本の「中国人」社会』(いずれも日経BPマーケティング)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか』(プレジデント社)、『中国人のお金の使い道』(PHP研究所)、『中国人は見ている。』『いま中国人は中国をこう見る』『中国人が日本を買う理由』(いずれも日本経済新聞出版)などがある
(写真:中島恵氏提供)

よく知られているように、中国では「高考」に向けて幼い頃から受験勉強が始まる。生まれたばかりの赤ちゃんの枕元に「高考まであと6540日」などと書いた紙を置いて写真を撮るのが定番で、つまり、それほど幼い頃から高考に向けて、厳しい戦いが始まっているという自虐的な意味である。

保護者からのプレッシャーを長年受けながら厳しい受験を勝ち抜き、ようやく大学に合格。しかし、そこでも競争はなくならず、さらによりよい就職を目指して頑張らなければならない、というのが中国の若者が歩む道だ。

先日、広東省に住む筆者の知人が、SNSに子どもの答案用紙の写真を載せていたのに目が留まった。そこには、「クラスの中でどの生徒が蹴落としたいライバルですか」と先生のコメントが書いてあり、知人の子どもが「陳〇〇さんと、王〇〇さん」と書いていたことに、筆者はとても驚かされた。

ある程度の競争はモチベーションアップのためにもよいことだと思うし、人口が多い中国で競争がつきものなのも承知している。個人的に「ライバルは〇〇さん」と自覚することもあるだろう。だが、学校の答案にまでライバルの名前を明記し、闘争心を煽るという教育のやり方に違和感を覚えた。

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