精神科医に聞く「受験生のメンタルケア」、子どもを追い詰めない声かけとは SOSサインに気づき、正しく対処するために

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受験生の間はプレッシャーもありますし、楽しみを我慢するストレスもあります。それなのに「すごく楽しい!」と言う子は要注意です。このような子に多いのが、(1)部活を引退した解放感に浸って勉強をしていない、(2)よい成績を褒められることで承認欲求が満たされている、という2パターンです。後者は志望校に入ることよりも成績を褒められることに喜びを感じているため、進学すると燃え尽きてしまうケースも多く、注意が必要です。

一方、「受験の結果で人生が決まってしまう。失敗したら終わりだ」とネガティブに寄りすぎる子もいます。そういう子には、親が客観的な視点を持って気が楽になるよう声をかけてあげてください。

ここでも大切なのは本人の自主性の尊重です。「こうしなさい」「大人の言うことを聞けばいい」と考えを押し付けるのは最悪のパターンです。「あなたのことを信頼している・尊重しているよ、でも、こっちのほうがいいかもしれないね」というような口調でアドバイスをするといいです。

チートデーとチーム力を上手に活用しよう

――周りのプレッシャーから「頑張りすぎる」受験生もいると思います。

やる気は大事ですが、頑張りすぎると成果は減ります。というのも、緊張しているときよりもリラックスしているときのほうが、人間の頭はよく動くものだからです。

受験本番は頭を使いますから、リラックスが必要です。そのためには、普段から「物事はバランスだ」と意識してリラックスできるようにしておく必要があります。アスリートでも本番に強い選手ほど自分のルーティンを実行し、リラックスできる状況を作っています。

また、つらいのに我慢し続けて勉強するのもよくないです。人間の脳は我慢を続けられるようにはできていません。心身を壊してしまうおそれがあるので、「何日頑張ったからこの日は息抜きをしよう」と、意図的にチートデーを設定するといいでしょう。

1日だけ友達や家族と遊びに出かける、ぼーっとして休息するなどはいいですが、「1日中ゲームをする」はおすすめしません。チートデーが終わった後もゲームをしたくなる可能性が高いからです。反動が来ない息抜きをしましょう。

長距離を走ったことがない人がいきなりマラソンを走れないのと同じように、勉強の体力(集中力)も急につくものではありません。チートデーの設定も、“1週間に1日”から始めて、“2週間に1日”、“3週間に1日”と伸ばしていくといいでしょう。

――最後に親や教員に対してメッセージをお願いします。

メンタルが安定していて、親や先生と良好な関係を保っている子は受験でもいい成果を出しています。親や先生が本人と伴走するよいチームとなっていることが大事。その際、「ここからは本人次第」「これは親の役割」と割り切って考えることも忘れてはいけません。

(文:吉田渓、注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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