「セクシー田中さん」悲劇を受けた春ドラマの現実 あれから4カ月、ドラマ制作は変わったか?
高田雄貴プロデューサーは原作者・小沢かなさんに、「チームドラマという、もう1つの軸を加えることをご了承いただきました」と脚色の承諾を得たことを公表。一方の小沢さんも、「今のこの時代に、映像作りのプロ中のプロの方々の手によって新しい形に生まれ変わらせていただき、多くの方の目に触れる機会に恵まれたことを幸せに思います。あとはもう打ち合わせでいただいた製作陣のみなさまの熱い言葉を信じてお任せしました」などとコメントしていました。
その他、雲田彩の得意な言語が漫画の英語から中国語に変更、SDMの医師が精神科医から脳外科医に変更などの脚色もありますが、「気象庁、国土交通省、東京消防庁の全面バックアップ」を取り付けるなどスケールの大きい映像を実現させていることも含め、小沢さんが制作サイドに信頼を寄せている様子がうかがえます。
Xで自らドラマをPRする原作者も
「ACMA:GAME アクマゲーム」は、主人公・織田照朝(間宮祥太朗)の年齢を漫画の高校3年生から27歳に変更。さらに「悪魔の鍵」の設定や父親の死など多くの変更点がありますが、原作者・メーブさんは自身のXで「全て任せています。つまり脚本やドラマの進行に口出しや注文を一切していません。よって揉め事のようなものも現状何も起きていません」などと明言しています。
さらに「終了して何年も経つこの作品を見つけていただいて、ドラマ化したら面白い、と判断していただけたことに心から感謝しています」ともコメント。撮影現場を訪れ、セットのスケール、俳優の演技、スタッフの人数などに驚き、CGのクオリティにも満足しているようであり、Xに各話の感想などをつづっています。
ここまであげてきたように今春の3作は、「主人公の人物を変更」「チームドラマの要素をプラス」「主人公の年齢を大幅に上げる」と、いずれも漫画から大きく変えたものの、原作者との関係性は極めて良好。原作者がXなどでドラマを自らPRしているほか、制作サイドと原作者が密なコミュニケーションを取っていることなどもあえて明示されているように見えます。
「ACMA:GAME」原作者・メーブさんは自身のXに、「僕は、自分の作品は漫画であり(もちろん作画の先生との共同作品という意味です)、自分が責任を負う範囲も漫画までだと考えています。ドラマ化に関しては、(多くの役者さんやスタッフさんが関わっていることを承知した上で)その監督(演出)さんの作品だと考えています」とコメントしていました。
もともと制作サイドが原作者や漫画と真摯に向き合ってコミュニケーションを取り、「絶対に変えてほしくないところ」さえ押さえておけば、このように理解を得られるケースのほうが多いものです。さらに「セクシー田中さん」の悲しい出来事を受けて、制作サイドがより慎重に対応していることは間違いないでしょう。
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