3期連続減益に沈むヤマト「強気計画」に漂う暗雲 2024年度は荷物量回復で巻き返しを図るが

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プラス要素として、宅配便の単価は運賃値上げ交渉で721円と前期から18円上昇。残業時間の削減や自然減で人件費も大幅に削減し、配送網の集約など構造改革の効果もあったが、物量減の影響は厳しく、大幅減益となってしまった。

栗栖利蔵副社長は決算会見で「期初計画の利益に到達できていない。収益を上げていくことも、年間を通じて満足のいくものではなかった。ただ、第4四半期は費用削減でカバーするなど、流れは変わってきている。この流れを継続させながら、収益を出していくことに注力したい」と語った。

しかし、懸念されるのは続く2025年3月期の業績計画だ。宅配便の個数は6.4%増の20億個、単価は4円増の725円と想定。営業収益は前期比3.5%増の1兆8200億円、営業利益は同24.8%増の500億円とした。上期は50億円の営業赤字となるが、後半に一気に盛り返すシナリオだ。

ヤマトが上期に赤字に転落するのは珍しく、残業代の未払い問題があった2018年3月期以来となる。一方、下期に550億円以上の営業黒字を出したのは、最近ではコロナ禍で特需が発生した2021年3月期しかない。

下期に高水準の利益を目指すが

つまり、上期はかなりの苦戦が予想される一方、下期は歴史的にも高水準の利益をたたき出す必要がある。

ヤマトの貨物専用機。輸送スピードを重視する顧客へ営業を進めていく(写真:ヤマトHD)

足元の4~6月期、宅急便の数量は回復しきれておらず、すぐに収益を伸ばすのは難しい状況だ。また、前期にあったワクチン関連やリコール関連の案件の反動減の影響もある。

ほかにも、費用面では貨物専用機の導入による先行費用が重い。こうしたマイナス要素を営業の強化と構造改革による効率化でカバーしていく構造になる。

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