「わくわくさん」演じた久保田雅人さん、「自分で考えて作り出す」工作の可能性 ものづくりの喜びや楽しさは誰にでも通用する

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「講演などのイベントで子どもたちと接しても、私はいわゆる『いちげんさん』で、その日限りの付き合いです。でも先生は子どもたちと毎日一緒にいて、勉強以外のこともつねに見ているのだから、そこに感じる責任は大きいでしょう。子どもの数が減っているとはいえ、一人ひとりに目を向けることが求められるようにもなっていて、その負担を考えればやはり教員数が足りない。話を聞いていても、みんな疲れているのがわかります」

現場の難しさを感じているが、だからこそ久保田さんは、教育の場で「工作」ができることを模索し続けている。

「子どもの気持ち」を大切に、ものづくりで工夫と発見を

久保田さんはさまざまな工作教室や講演を引き受けているが、教員向けの研修では、大人にも手を動かしてものを作ってもらうという。

「先生たちも『ほおー!』とか『なるほど』なんて言いながら、楽しそうに取り組んでくれます。こうした反応を見ると、ものづくりの喜びや楽しさは、年齢を超えて誰にでも通用するものだと実感します。また、家にあるもので工夫しながら何かを作ることは、大人にとっても発想の転換にもつながるのではないかと考えています」

どんな発想の転換が必要なのか。久保田さんは例えば、工作での材料集めについて語る。

「今は芯のないトイレットペーパーもありますし、何かの空き容器もそうそう確保できないし、教室の子どもたちみんなに同じ材料を用意するのは難しいですよね。私も『フィルムケースって何ですか』と言われたり、ペットボトルを使った工作のリクエストが増えたりするたびに、時代の変化を感じてきました。職業柄、我が家にはよりどりみどりの材料が豊富にあったので、うちの子どもたちは工作に困ったことはありませんでしたが(笑)」

統一した材料が用意できず、それぞれに違うものが出来上がったとしても、それでいいのだと久保田さんは続ける。久保田さんの工作教室に参加していても、保護者や教員に促されていやいやながら取り組んでいる子どもはいる。違うものを作り始めてしまうこともあるが、久保田さんはそれはそれでいいと思っている。

「こちらの意図と違っても、何かを作り始めたということは、その子はそれを『やりたい』と感じたということですよね。番組をやっているときも、私はゴロリくんとわくわくさんが作るものが同じでなくていいと考えていました。違う人が作ったら違うものができていいんです。大切にしてほしいのは、その子が何を作ろうとしたのか、ものをどんなふうに見たのかという『子どもの気持ち』。あるいは『こんなやり方もあるんだ!』と発見するような経験です。だからできれば、そのまま使えるキットを配るよりも、身近にあるもので工夫することに挑戦してほしいと思います。子どもたちに同じものを作らせようとしてしまうのは、評価しなければいけない、展示しなければいけないという先生の気持ちなのではないでしょうか」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事