1年の始まり「4月の学級経営」で大事なこと、バックキャスト思考のススメ 問題起こることを前提にベターな学級づくりを

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問題の起こらない学級はない、解決の基盤は信頼関係

バックキャスト思考に基づく学級経営計画が示唆してくれることは、学級経営をする教師が、どんなゴール像を描くのかという理想の質がいかに大事かということです。

前年度トラブルが多くて困った、だから問題のないクラスにしたいという判断は心情的には理解できますが現実的ではありません。問題の起こらない学級はないからです。

ベターな学級のあり方として自治的集団や創発学級を想定するのは、これらは問題が起こることを前提として、それを話し合って解決策を見つけ、協力しながらよりよい学級をつくっていくことをその営みの中心としているからです。

「いじめを見つけたらどうしたらいいか」といった急を要する問題や「クラスの雰囲気を盛り上げるにはどうしたらいいか」といった創意工夫を要する問題などを話し合って解決策を策定し、解決のために協働でアクションを起こします。

その基盤になるのは信頼関係であり、根底にあるのは秩序だと考えられます。エドモンドソン(野津訳、2014)の研究で注目された心理的安全性もその1つだと考えられます

心理的安全性とは「何を言っても大丈夫」というメンバーに共有された信念です。こうした信念が共有されると秩序になります。今、教室における最大のリスクは、傷つけられたり認められなかったりという対人関係上のリスクです。話題となっているウェルビーイングも、自分と周囲との人間関係に深くかかわると言われています。

健全な学級生活とは、決して教師の敷いたレールどおりに子どもたちを動かすことではありません。教師と子ども、子ども同士が自分の願いや違和感を、言葉に出して、合意できるところを探しながら、トラブルを乗り越え共感的で協力的な関係を形成しながら日々を過ごすことです。

年度初めの不安な気持ちを不適切な行動で表現する子どももいるでしょう。しかし一方で、互いを尊重する発言、行動をする子どももいるはずです。そうした子どもたちの不安を受け止めつつ建設的な姿を認め、理想を見据えながらも焦らずに、丁寧に4月という時間を過ごしていってはいかがでしょうか。

※エイミー・C・エドモンドソン (著), 野津智子 (訳)『チームが機能するとはどういうことか──「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』英治出版,2014

(注記のない写真:marumaru / PIXTA)

執筆:国立大学法人上越教育大学教職大学院教授 赤坂真二
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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