優しいのがよい教師?ほめて伸ばす時代にあるべき「上級の叱り」の4ステップ 「子どもに嫌われたくない」を理由に逃げないで
「叱り」には、教師が子どもに真剣に向き合う姿勢が表れます。教師の姿勢に、自分(わが子)に対する真剣度を感じれば、子どもからも親からも信用を得ることになるはずです。反対に、叱るべきところで子どもを叱れない教師は、いずれは保護者からも子どもからも信頼を失い見限られることになってしまいます。
優しい、親しい教師が「子どもを理解しているよい教師」?
一般的には、子どもは叱る教師より優しい教師が好きです。優しさや親しさは、子どもとの人間関係を築くために必要な要素であることに間違いはありません。しかし、それらが「本当に子どもの将来を考えたうえで」の優しさであるかどうか、よく考えてみる必要があります。

奈良県公立小学校 校長
1989年奈良教育大学卒業後、奈良県内の小学校に勤務。「子どもが安心して活動することのできる学級づくり」を目指し、教科指導や学級経営、生活指導の研究に取り組む。子どもを伸ばすために「叱る・ほめる」などの関わり方を重視することが必要との主張をもとに、「中嶋郁雄の『叱り方』&『学校法律』研究会」を立ち上げて活動。著書に『校長1年目に知っておきたい できる校長が定めている60のルール』『仕事に忙殺されないために超一流の管理職が捨てている60のこと』(ともに明治図書出版)、『残業しない教師の時短術 フツウの教師・デキる教師・凄ワザな教師 』『信頼される教師の叱り方 フツウの教師・デキる教師・凄ワザな教師』(ともに学陽書房)などがある
(写真:中嶋氏提供)
単に、子どもとの関係を上手にやりたい、子どもに嫌われたくないという理由で子どもを叱ることから逃げてはいないでしょうか。もし、そうあれば、その教師は本当に優しい教師とは言えません。学校が子どもにとって学びの場であり、教師が子どもにとって教える人である以上、「叱り」という教育的行為から逃れることはできません。子どもは、叱られることによって学び、自分を向上させていく存在であると言っても過言ではないからです。
しかし現在は、優しい教師や子どもと親しい教師が、子どもを理解しているよい教師であるかのような風潮があります。若い教師の中には、叱りに対してマイナスイメージを抱いている人が増えているように感じます。
ここ数年、「叱らない指導」「ぶつからない指導」といった言葉を耳にするようになりましたが、「叱りは、子どもとの信頼関係を崩す」「叱りでは子どもは伸びない」と、捉えてしまう若い教師が少なくないように感じます。
しかし、「叱らない指導」「ぶつからない指導」方法は、決して「子どもをまったく叱らない」というものではありません。些細な場面で子どもの言動に釘をさすことによって、厳しく指導しなくても子ども自身に自らの間違いを気づかせ改善していく指導法です。ですから、実は教師が叱って指導しているのです。