三越伊勢丹と連携、メタバース上の「アバターの服をデザイン」する授業の効果 未来のファッションをテーマに創造力を育てる

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児童は1組につき4人から6人のグループに分かれ、3つの未来シナリオのうち1つを選び、「1.未来の暮らしについて考える」「2.未来の暮らしの物語をつくる」「3.同じテーマの人で街をつくる」「4.未来のファッションのデザインを作り、自分たちの考えを皆の前で発表する」という流れだ。

三鷹市立第三小学校4年生の最終プレゼンテーション大会
(写真:長島氏撮影)

「雨のやまない世界では、気持ちがどんよりしてしまいがち。街には雨水を利用したウォータースライダーやプールがあり、気持ちを明るくするために、花火大会も行われています。そんな世界で着るのは、スカートの内側からお花の種が出てきてペンダントから光を集め、花を咲かせてくれる『雨でもルンルンお花服』です」

「空中で暮らす世界では、障害物がなく国境もありません。私たちが考えたのは、世界中を旅することができる『自由に空を舞うファッション』。スカートは花びらと羽でできていて、太陽の光を貯め、夜になると輝きます」

いささか緊張の表情も見られたが、未来の暮らしのストーリーや自分たちでつくった街、未来のファッションについて、ときおり身振り手振りをまじえながら堂々と発表する姿が印象的だった。審査は仲田氏をはじめとする三越伊勢丹スタッフが行い、入賞2チームを選定した。

仲田朝彦(なかだ・ともひこ)
三越伊勢丹 営業本部 オンラインストアグループ デジタル事業運営部 レヴワールズ マネージャー
2008年に伊勢丹(現三越伊勢丹)に入社。紳士服担当として店頭・バイヤー業務を経験。2019年に社内起業制度を活用し、「仮想店舗とデジタルウエア事業」のトライアルを実施。2021年よりメタバースを活用したスマホアプリ「REV WORLDS」事業の運営を開始、現在に至る

「日々の生活と密着しながらも未来志向の題材に、子どもたちは毎回目を輝かせて取り組んでいました。先生方から『よい点も改善点も、とにかく子どもたちにフィードバックしてあげてください』と言われ、意識して行ったところ、ほめるととても喜んでくれるのはもちろん、課題点を指摘すると真剣に聞き、結果的に作品の解像度があがるんですよね。

グループワークを経て皆の前でプレゼンを行うには、周りの子の意見を尊重しながら落としどころを決めていく難しさがありますが、ポジティブに向き合う子が多かったです」

仲田氏は続ける。

「最初の頃、『僕が思っていることにみんながついてきてくれない』と悩んでいた子が、発表会の日は堂々とふるまい、同じクラスの子の発表を一生懸命応援している姿を見て感銘を受けました。環境問題や社会問題を座学で学ぶことももちろん大切ですが、絵を描いたり、工作したり、話し合ったりなど行動することで学びやコミュニケーション能力が深まりますし、『絵がうまい』『想像力がある』など、その子の新たな『好き』『得意』を発見するお手伝いができたようにも感じます」

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