ロマノフの徒花 河島みどり著

ロマノフの徒花 河島みどり著

ロシア革命で崩壊するまで3世紀に及ぶロマノフ朝の栄華と専制政治体制を確立したのはピョートル1世とエカチェリーナ2世だった。この巨星の間に咲いた徒花(あだばな)の一つが11歳で即位したピョートル2世と、その婚約者たるドルゴルーコフ公爵家の令嬢エカチェリーナである。公爵の陰謀は、寵臣メンシコフを失脚させ、その娘で2世の婚約者ナターリヤを追放すること、その後釜に自らの娘を滑り込ませようということにあった。そしてそれは見事に成功するのだが、放埓(ほうらつ)の極みを尽くした2世の急死によって事態は暗転する。

因果応報、公爵一家を待ち受けたのはシベリア流刑だった。皇妃から囚人の身となるエカチェリーナ。極寒の地での人間模様が後半のハイライトだ。前半では王朝一族や貴族たちの華やかで空虚な生活と、富と地位を目指しての虚々実々の策謀とが精妙に描かれる。貴重な一次資料を渉猟して書き上げられた上質のノンフィクションである。(純)

草思社 2310円

  

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