子どもへの「声かけ」が巧妙化、親のSNSから情報収集など手口拡大の恐怖と実態 「狙いやすい子」にならず20m以上距離をとって

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「小さい子であれば、保護者が出かけている際に近所の方やよく行くお店の方と挨拶を交わし、子どもも交えてコミュニケーションをとることで、『この人は親切な人、安心していい人だ』と覚えていきます。就学後は先生や、通学路の見守りの方など、信頼できる人であると同時に『自分を大切にしてくれる人』の空気感や距離感を学ぶようにしておくと、『そうではない人』に会ったときにすぐに気づくことができます。また、普段接している人が犯罪者へと変貌するときにも『二人きりになろうとする』『逃げられない環境を作ろうとする』、ネットでしか知らない人がしつこく『写真を送れ』と言うなど違和感が出ることが多い。この違和感にいち早く気づき、距離をとれるように、日ごろから子どもと大人との距離感を体感しておくことが大切なのです」

「間違っていたら失礼かもしれない」「勘違いだったら恥ずかしい」などと考えて、すぐにNOと言えず被害にあってしまう子もいる。だが、何よりも大切なのはその子の命と身体だ。

「間違えてしまった時には『間違えてしまってごめんなさい』と言えればいい。怖い、不安だと感じたらためらわず相手を拒絶し、すぐに逃げる訓練をしておくことが何よりも重要です」

不審者との接触リスクを減らすために「知らない人と話してはいけない」と教えられた子どもは、大多数を占めるはずの親切な大人とのつながりも絶ってしまい、いざ困ったときに誰にも助けを求められない……という状況に陥りやすい。保護者とともに外部の人に挨拶をしたり、あたたかな声かけをもらったり、という小さな経験を積み重ねることで、「適切な大人はこういうものだ」という判断基準が育ち、警戒すべき大人と遭遇したときに自分を守る行動につながる。

「断る力は一朝一夕では身につかない。小さいうちから日頃のコミュニケーションを通して学ぶものだ」という清永氏。例えば、「嫌です、だめです、行きません」も年齢に合わせて、「急いでいるので」「大人を呼んできます」「家に帰って確認しますので」などと言い方を進化させることも必要だ。不審者に絡まれている友達がいたら、近づかずに大声で「どうしたの?こっちにおいで」と自分の身を守りつつ一緒に交番に行くなど、共助の力も育てたい。本来は、学校などで年に一度は体験型の安全教育を行うのが理想だという。イギリスなどでは、街並みを再現した体験施設を子どもに歩かせ、街に紛れた犯罪者役の声かけを経験させるようだ。

巧妙化する声かけに対して、子ども自身がしっかりと自分を守れる力をつけるために、保護者や学校でも安全教育について改めて考える必要がありそうだ。

(文:藤堂真衣、注記のない写真:keyphoto / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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