120時間の残業生活が激変、定時退勤を実現した公立教員の「時短術ベスト3」 「ギガ先生」が授業で使い倒す「4大ツール」とは
ICTの活用は、職場全体の効率化にもつながっているようだ。柴田氏の学校では、柴田氏やICT活用に長けた教員らの発案で、会議資料や授業で使う教材データなどをGoogleドライブで共有し、スマホや自宅のパソコンからも閲覧できるようにしたという。
「本校の先生方は割と退勤されるのが早いのですが、こうして学校全体でペーパーレス化を図ったことは大きかったと思います」
柴田氏は、ICTの活用は自身の強みでもあるので、ICTの仕事で困っている教員がいれば声をかけてサポートし、そのほか学校単位や学年単位の仕事も率先して引き受けているという。こうした心がけも、働きやすい環境づくりにつながっているに違いない。
時短の実現のために何よりも大事なのは「学級経営」
一方、学校ではトラブルがつきもので、教員はそこにも時間を取られやすい。そんなとき、柴田氏はどう対応しているのか。
「もしトラブルがあったときは、子どもたちが学校にいる間に解決することを心がけています。保護者への連絡も、連絡帳経由では誤解を生むことがあるので、児童が帰宅する前に電話でお話をします。状況によっては児童と一緒に家まで付き添い、直接説明することも。後からの説明だと言い訳と捉えられてしまう場合があるからです。実際、早めに動くことで、残業してまでの対応がなくなりました」
また柴田氏は、時短を実現するためには学級経営が何よりも大事だと話す。学級が安定すれば、余裕を持って仕事ができ、児童間のトラブルも少なくなるからだ。そのため、新年度の4月は、学級を安定させる仕組みづくりに全力を注ぐ。とくに前述の「1人1当番」を最初の1カ月で確立すれば、児童は自分たちで考えて動くようになり、それは結果的に教員の負担減につながるという。
そしてもう一つ、保護者との関係づくりも学級の安定に欠かせない。柴田氏は新年度が始まると、保護者全員に電話をし、挨拶とともに児童の日常のポジティブな様子を報告するようにしている。電話連絡が難しい家庭には、一筆箋を児童に託す。「最初の参観日までには、全員とコンタクトを取るようにしています。日頃からつながっていれば、保護者の方は安心ですし、何かあったときも教師の味方になってくれます」と柴田氏は言う。
時短術や働き方に関するビジネス書なども参考にしながら、数々の工夫を試してきたという柴田氏。改めて重要なポイントについてこう語る。
「私も以前は残業してまで先取りで仕事をしていたこともありますが、いつイレギュラーなことが起こるかわからないですし、ある程度準備しておけば対応できるものなので、仕事を進めすぎないことも大事ですね。とはいえ、2~3カ月程度先を見据えた“先取り仕事”は残業を減らすうえで重要です。そして、タイムリミットを決めてムダを省き、隙間時間にできることをやる。『こんなに子どもたちと関われるようになるんだ』など効果が実感できると、どんどん楽しくなって改善が進み、生産性も上がっていきます。時短はポジティブなものだと捉えていただけたらと思っています」
(文:國貞文隆、編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:柴田氏提供)
東洋経済education × ICT編集部
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