子ども同士の喧嘩や教員への反抗、不安定な11月に「学級崩壊」を回避する術 学級の「ボス」には1対1で個別に働きかけを

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学級の「落ち着きのなさ」は、低学年は児童同士の喧嘩、高学年は教員への反抗という形で表れることが多いという。

「2年生あたりの担任『あるある』ですが、授業を始めると、児童から休み時間中の喧嘩やトラブルを報告されます。年齢的に子どもの本心は、喧嘩の解決というより、『自分の話を聞いてほしい』というのが強い。授業中に対応してしまうと、『喧嘩すれば先生に話を聞いてもらえる』と勘違いしてしまうため、『話は次の休み時間で聞くから今は授業を受けましょう』と伝えましょう。いざ呼び出すと、『もういいや!』とあっけらかんとしていることも多いものです」

高学年の反抗的な態度には、「子どもが思ってもみない反応を返すことが大切」と三好氏。「『静かにしなさい』『ちゃんとやりなさい』と叱ると子どもの思うつぼで、期待通りの言葉を求めて反抗的な言動を重ねがちです。一方で、教員が想定外の反応をする“交差交流”をすると、やり取りが終わることも多々あります。例えば、『その行動をとる理由を説明してください』と淡々と説明を求めたり、『ああ、これね、面倒くさいよね』と茶化したりするなど、子どもが反応に困る返答をすることが大事です」

学級のボスや取り巻きの児童にはどんな対応をすべきか

学級の「ボス」的な児童が、取り巻きを従える形で学級の雰囲気を乱すケースも少なくない。

「皆の前で注意すると、『ボス』も周りの目を気にして反抗的にならざるをえません。休み時間にちょっとした手伝いを頼んで呼び出し、1対1になったタイミングで『最近、授業中の態度が気になるんだけど、ちゃんと集中できてる?』と伝えると、子どもも聞き入れやすいです」

「ボス」の児童への個別対応と並行して、取り巻きの児童への対応も忘れてはならない。

「『(ボスに)やれと言われたから』という理由で行動してしまう取り巻きの子どもたちは、将来、使い走りのような立場で悪事に巻き込まれる恐れもあります。今から回避するためにも、『本当にそれでいいの?』『自分はどう思っているの?』と問い続けることが教員の役割だと思います」

ボスと取り巻きの児童たちの団結力を、ポジティブな活動で発揮してもらうのも手だ。授業中は議論や調べ学習などチーム活動を充実させ、生活班の活動で、それぞれ「ボス」「取り巻き」以外の児童と交流できる機会を設けると、クラス全体の風通しがよくなると三好氏は語る。また、「ボス」が率いるグループではない児童への対応も重要だと三好氏は続ける。

「教室内で、2割の児童が望ましい行動をとり、2割がボスにつられて反抗的な態度をとるとすると、残りの6割がどちら側につくかで学級の雰囲気が変わります。この子どもたちは突出して目立つことが少なく、なかなかほめられる機会も叱られる機会もありません。こまめに声をかけたり、宿題のノートに一言メッセージを書いたりして、『よい行動をすると、先生もちゃんと見ていてくれる』という実感を持たせることが大切です」

教員が見落としがちな「ヒドゥン・カリキュラム」とは

さらに学級の雰囲気が悪くなる一因として、「ヒドゥン・カリキュラム」がある。三好氏によれば、「ヒドゥン・カリキュラム」とは教員が無意識のうちに児童に教えてしまっているもので、以下が例だ。

 ・挙手している子どもの発言だけで授業を進める
  →「授業中は何も考えなくてもかまわない」
   「人任せにしていれば自分が傷つかずにすむ」
   「何もしなければ失敗することがなくて楽だ」

 ・授業中に教員をあだ名で呼ぶのを許す
  →「授業時間と休み時間のけじめはつけなくてもよい」

 ・授業中に不要な発言をしている子に教員が何も言わない
  →「授業中に不要な話をしてもよいのだ」
   「先生はあの子を特別扱いしている。あの子の言うことは聞いておこう」

 ・教員の机の上が散らかっている
  →「身の回りの整理整頓はしなくてもかまわない」
   「先生は整理整頓をしろと言うが自分はしていない。本音と建前は違ってよいのだ」

 ・教室の花瓶の花が枯れている
  →「植物は雑に扱ってもよい」
   「教室内のものは汚れていてもかまわない」
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