なぜ母親は怒ると止まらないのか、父親の「指摘」「逆ギレ」との違いは 30年前と大違い、過酷な"令和の子育て"事情
わが子の特性を見抜く方法と、怒りの言い換え事例6選
現在小川氏は、“見守る子育て”の実践と普及を行っている。「子どもの生育は一人ひとり違います。一律の教育を押し付けてうまくいかないのは当然。子どもの才能やタイプに応じた支え方を見つければ、早いうちに成功体験を持たせて、主体的な学びに導くことができます。わが子への理解をいち早く進めて望ましい関わり方をつかめば、イライラよりも喜びが増えますよ」
ここで、例を1つ挙げてみよう。小学2年生のY君は、毎週末ラグビースクールに通いラグビーを心底楽しんでいる。得意のパスで足の速い味方にボールを渡し、トライにつながることがうれしいようだ。一方で母親は「好きなことは応援したいが、とはいえラグビーばかりに熱中していて大丈夫なのか……」と不安を抱えている。
こうした場合、Y君がラグビーに向き合う姿から、人間としてどんな素養があるか、今後どんな経験を身に付けるとよいかを客観視することがポイントだと小川氏は言う。
「Y君は集団プレーでの喜びを感じているので、共同作業に取り組むことができ、共感力が高い。パスが得意ということは、視野が広く、視覚情報への判断が早い。裏を返せば落ち着きがなく、話を聞かないタイプ。そして手先が器用で細かな作業に向いているかもしれない――。このように、子どもの持ち味を多角的に捉えて解釈していくのです」
実際、小川氏の著書では、これまで6000人以上の子どもを見守る中で得た“多様な見方”が反映された言葉がたっぷりと掲載されている。取材で独自に聞いた事例を含め6つ紹介しよう。
「お姉ちゃんはできたのに」→「〇〇はどんな勉強のスタイルなのかな?」
ケース2:勉強する意味を問われる、勉強する意味がないと言って勉強しない
「つべこべ言わずに勉強しなさい」→「確かに何でだろうね。一緒に調べてみよう」
ケース3:いつまでも勉強に着手しない
「いつまで見てるの!」→「この動画は1本何分? 6時までということは、あといくつ見るの?」
「宿題早くやりなさい」→「宿題は何が出ているんだっけ?」
ケース4:テストでいい点を取らせたい
「頑張って100点取るのよ」→「100点取りたいよね、正直何点くらいなら取れそうなの?」
ケース5:反抗的な態度を取られる(オリジナル)
はあ?/うるせーよ/母さんだって〇〇じゃん→「確かにね」「そのとおり」+「でも、心配だし助けてあげたいから聞くんだけど、もしかして困っている?」
ケース6:子どもがわざと聞いていないふりをする(オリジナル)
「〇〇、聞いてるの!?」「聞きなさい!」
→(幼少期や低学年の場合)「はい、そこの、聞いてるけど聞いてないふりをしているけど実は聞いている人〜!」
→(中学年以上の場合)「〇〇の話をしたいんだけど、何時なら聞ける?」「聞く必要がないと思う理由を教えて?」
「ハウツー本としてではなく、あくまで親子の心の価値観を確認するツールとして、また僕と会話し相談するような気持ちで手に取ってほしい」と小川氏。自分の感情の棚卸しができ、子どもへのイライラを減らす一助になるかもしれない。
(文:せきねみき、編集部 田堂友香子、注記のない写真:beauty-box / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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