「円安と実質賃金下落」日銀が堪え忍ぶ2つの嵐 日本の賃金統計も為替を左右する材料となる

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円安に引き締めを催促されるも、賃上げは続くのか(日銀本館、撮影・尾形文繁)

8月8日、厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所、以下毎勤統計)は実質賃金が前年同月比マイナス1.6%と15カ月連続で下落した(減少幅も5月から拡大)。

直後の為替市場では、毎勤統計が円売り材料として受け止められた、との解説も見られている。

日銀は黒田体制時代から「2%の物価目標を念頭に置いたうえで、名目賃金上昇率が3%、つまり実質賃金が1%上昇する姿が理想的」という情報発信をしてきた経緯がある。

実質賃金が下がると、引き締め観測がしぼむ

周知の通り、そうした賃金上昇の必要性・重要性は植田体制発足以降、声明文に明記されているところでもあり、為替市場で材料視されること自体に根拠はある。

つまり、実質賃金の仕上がりが悪いほど、日銀に対する金融引き締め期待はしぼむことになり、円売り安心感が醸成される。

いくら春闘が30年ぶりの賃金上昇率を確保しても、実体経済の消費・投資動向に大きな影響を持つ実質賃金の仕上がりが悪ければ話は進まない。今後、毎勤統計が円相場の取引材料となる展開は念頭に置くべきものかもしれない。

こうした実質賃金の情勢は、長引く円安相場と無関係ではない。

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