「利上げ停止」楽観論が渦巻く米株式市場の死角 FRBが重視する各種指標を見逃すべきでない

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アメリカ景気の軟着陸と利上げ停止への期待が高まる株式市場。だが、本当にFRB(連邦制度準備理事会)は7月で利上げを打ち止めにするのか。

FRB パウエル議長 利上げ
パウエル議長は7月の利上げを示唆しているが、株式市場はそこでの打ち止めに期待をかける(写真:T.J. Kirkpatrick/The New York Times)

アメリカ株の高騰が止まらない。ダウ平均は7月20日まで9営業日続伸した。背景には前週発表された消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)などの伸び率が縮小し、インフレ退治の出口が見えてFRBの利上げが長期化しないとの期待がある。

期待が高まる7月での利上げ停止

FRBは6月時点でインフレ退治の姿勢を鮮明にしていた。パウエル議長は政策金利を5~5.25%で据え置いた6月のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で、7月会合での利上げの余地を示唆。なおかつ、FOMC参加者のFF金利見通し(ドットチャート)では2023年末の中央値がその前よりも0.5%ポイント引き上げられた。

0.5%ポイントは0.25%ポイントの利上げ2回分にあたる。そのため7月25~26日に行われるFOMCにも再利上げがあり、さらに年内にもう1回利上げするのではないかと多くの市場関係者は予想した。

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