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バイオマス燃料の認証偽装、エネ庁が本格調査へ 独自取材で判明した「納入先の発電所」実名

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認証偽装を行ったAVP社の木質ペレットはいったい国内のどの発電所に納入されたのか。東洋経済が取材を進めたところ、その実名が浮かび上がった。

伊藤忠商事が燃料供給を担う市原バイオマス発電所(写真:記者撮影)

「やはり複数のベトナム企業で認証偽装が行われているのではないか」。バイオマス発電業界の関係者の1人はそう嘆息する。

2022年10月に国際的な森林認証制度を運営しているFSC(森林管理協議会、本部ドイツ)はベトナムの木質ペレット販売最大手のAVPを認証制度から排除する措置を取った。FSCによると、AVPがペレット製造に使用した木材をFSC認証の木材であるかのように「大量の虚偽表示」を行っていたためだ

このFSCが今年5月15日、ベトナムの木材取引に関する新たな調査を開始すると発表した。同調査は5月から11月まで実施する予定で、森林から木質ペレット加工業者に至るまでの取引情報を調査する。

認証機関がここまで調査を行うとする背景にあるのは、どうやら「ベトナム国内にある認証を受けた森林の量と認証材の量が一致していない」(バイオマス業界関係者)ことがあるようだ。

認証偽装がはびこっている

このことは2020年ごろから関係者の間で取り沙汰され、認証偽装がはびこっているのではないかとの指摘の論拠の1つとなってきた。FSCは今回の調査を通じて、森林から生み出される木材に比べて、認証材がなぜ多いのか。その食い違いについて丹念に調べていくものと思われる。

一方、経済産業省資源エネルギー庁もようやく重い腰をあげた。3月10日に開かれた衆議院の環境委員会で立憲民主党の近藤昭一議員がこの認証偽装問題に関する調査の進展について質問した。

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