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米銀破綻を許した当局のザンゲは「対岸の火事」か 日本にも通じる手薄い監督体制と政治との関係

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銀行の基本を忘れたようなずさんなリスク管理の末に取り付け破綻した地銀に対し、なぜアメリカ当局は後手に回ったのか。何を汲み取るべきか。

「他山の石」とできるか(写真・小野真志 / PIXTA)

シリコンバレーバンク(SVB)をはじめ、3月にアメリカで発生した相次ぐ地方銀行の破綻は、その規模の大きさ、さらにはSVBの場合、わずか2日間で全預金の85%程度が流出した可能性が指摘されている預金流出のスピードの異常な速さから、金融関係者の肝を冷やす出来事となった。

もっとも、金余りの中、急速に増えた預金をそのまま固定金利の長期債等に回すといったリスク管理の基本のキを忘れたような行為は、銀行には許されないものだ。高インフレ勃発でFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が急速な利上げに走り、保有資産に巨額含み損が発生したことが表面化するとSNSで噂が一気に拡散し、まれにみるスピードの預金流出となったわけだ。

通常は、こうしたずさんな運用に対しては、銀行のリスク管理部門や株主のエージェントであるべき取締役会がチェックを入れる。SVBの場合、執行部側が自らの利益を追求するなかで、相当意図的な形で組織内部のリスクに対するチェック体制を骨抜きにしたようである。

ただ、銀行のリスク管理が機能しなかった場合でも、監督当局が是正に向けて動き出す。これがなぜ機能しなかったのだろうか。

遅すぎた落第点

シリコンバレーバンクの場合はFRB(なお直接監督に当たっていたのはFRB傘下のサンフランシスコ連銀)、シグネチャーバンクの場合は連邦預金保険公社(FDIC)が監督に当たっており、それぞれの当局が銀行破綻後間髪を入れずに、事の顛末を綴った「懺悔レポート」を出している。

2つの当局のレポートの内容には似通った部分が多い。

最初に、今回の破綻劇の最大の要因は、余りに「稚拙な」破綻銀行のリスク管理体制であり、これに対し事前に監督当局が忠告していたにもかかわらず、これに対し「聞く耳を持たなかった」破綻銀行経営陣の「図々しさ」であることが指摘されている。

しかし、である。レポートをよくよく読むと、FRBもFDICも、破綻銀行の経営に明確な「落第点」を付けたのはつい最近であることがわかる。

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