創業オーナーに忖度せず再編進める
──社長交代の経緯は。
副社長兼COO(最高執行責任者)に就任した2022年4月からは、ほぼ僕が経営の舵を取っており、それを増田さんは見守ってきた。ただ、事業再編のフェーズを乗り越えるうえで、社内外に覚悟を見せる必要性を感じ、僕が社長に就くことを提案した。
就任に際し、増田さんからは「俺はツタヤなど、いくつか大きな事業をつくってきた。ただ、人や組織はまだつくりきれていないのかもしれない」と言われた。「リストラでⅤ字回復」といったセオリーどおりの経営判断において、僕より優秀なプロ経営者はたくさんいるはずだが、事業を次のフェーズに進めつつ、人も大事にしていくことを託されたのだろう。
増田さんは創業オーナーなので、社内外から「(CEOの肩書を残して)院政を敷いているのでは」「傀儡(かいらい)政権なんじゃないの?」と心配される。
だが忖度(そんたく)はいっさいしない前提で今回のポストを受けた。彼も「任せたのだから、おまえが決めろ」という姿勢で、世間のイメージと実態はまったく異なる。
──増田会長の長男で、後継者候補とも目されている専務取締役の宗禄(そうろく)氏がCFO(最高財務責任者)から外れます。新たな役割は。
実は今年、増田さんに、ある象徴的な店舗のリニューアルと、長野県・軽井沢エリアのプロジェクトをお願いしている。宗禄さんには、これらと並走し、会長のパフォーマンスを最大化してもらう。
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