GIGAスクール3年目、文科省・武藤久慶が語る「1人1台端末を使い倒す」重要性 地域・学校で顕著な差、基本操作に難ある子も
「自前主義にこだわらず、使えるものは何でも使って」
――2022年1~2月に実施した「児童生徒の情報活用能力の把握に関する調査研究」の結果については、どう分析されていますか。
初めての調査のため過去と比較した分析はできませんが、小中高と学年が上がるごとに情報活用能力が上がる傾向が見られました。それは当然のことですが、注目すべきは、そこからこぼれ落ちてしまっている子どもが一定数いるということ。とくに小学校でその割合が高い。キーボード入力などの基本的な操作に難がある子どもも相当数見られ、テコ入れが必要です。
ChatGPTなど生成AIが話題ですが、今後さらにテクノロジーが進展する中で、デジタルに使われるのではなく、使いこなす子どもたちを育成しなければなりません。情報活用能力とは、情報技術をうまく使って自分の考えを形作っていく力です。そういった力を養っていくには、学校教育のさらなるアップデートが必要。そのためにも端末活用の日常化は必要条件だと思っています。
――今後、次期学習指導要領の議論が始まり、25年には多くの学校が端末のリプレースの時期を迎えます。こうした流れを踏まえ、23年度はどのような1年にしたいとお考えですか。
端末の更新は極めて重要な課題です。関係者の理解を得ながら検討をしっかり進めるためにも、今ある端末の使い倒しを図ることは欠かせません。GIGAスクールの環境を前提に次の学習指導要領の議論をするためにも、ICTで業務を効率化して教員と子ども、子ども同士の関わり合いを増やし、個別最適な学びや協働的な学びを実現することが私たちの大きなミッションです。今年度はそういった環境の学校をたくさん増やすとともに、ネクストGIGAに向けた検討を行います。
――ほかの省庁との連携のご予定はありますか。
経済産業省は「STEAMライブラリー」など優良なコンテンツを発信してくださっています。非常に心強いパートナーであり、日常的に作戦会議をしています。これまでも経産省に限らず、金融教育なら金融庁、環境教育なら環境省、法務教育なら法務省と仕事をしてきましたが、今後はさらに連携を強化し、子どもたちの多様な興味・関心に応じたデジタル学習コンテンツをいっそう充実させていく必要があります。そういう視点で、NHKさんとの連携も抜本的に強化しているところです。
教育現場は、自前主義にこだわらず、使えるものは何でも使って子どもたちに必要な資質能力を育成してほしい。こうしたマインドチェンジは、働き方改革を進めることにも大きく寄与すると思っています。私たちはそのために条件を整えていきます。
インフラ面で言えば、総務省、デジタル庁、こども家庭庁と連携し、教育や医療、福祉に関するデータをダッシュボード上で統合・可視化することによって、リスクを抱えた子どもたちにアプローチする取り組みを進めています。そうした観点からも、クラウドベースで校務系と学習系のシステム統合は私たちの大きなミッションの1つと捉えています。
(文:國貞文隆、注記のない写真:Fast&Slow/PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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