初めてでもよくわかる「Google Classroom」、現役小学校講師が徹底解説 授業の準備時間50%減、採点・成績処理時間60%減
生徒がさまざまな端末で使用できるのも大きなメリットです。学校を休んでいる生徒もスマートフォンや自宅のパソコン、Chromebookなどで情報を共有できます。Classroomを普段使いしていくことで、学級閉鎖や学校閉鎖になってもすぐにリモートに移行して授業を進めることができます。
授業でClassroomの[質問]の機能を活用すれば、生徒全員の意見を集めてすぐに共有できます。教師が質問すると小学校の低学年では多くの生徒が手を挙げますが、年齢が上がるにつれて発表することに不安や恥じらいが生まれ、手を挙げなくなります。教師はクラス全員の意見を聴こうとしますが、全員を指名するのは時間的に難しく、発表する生徒が偏ってしまう傾向もあります。Classroomの[質問]では、クローズドクエスチョンの質問を自動で集計したり、オープンクエスチョンの回答を共有して生徒同士がコメントし合ったりといった一歩進んだ意見の交流が可能になります。
※Classroomでは「教師」と「生徒」という名前で役割が区別されているため、ここでは「教師」と(小学校児童も含めて)「生徒」に表記を統一
教師も業務効率化、作業時間を圧倒的に削減できる
一方、Classroomを活用することで教師も業務効率化が進み、作業時間を圧倒的に削減できます。
学校が自前でサーバーを整備する場合、維持管理にコストがかかります。また、学校のサーバーを利用した際に、同時に同じファイルを編集できなかったり、一時的にアクセスできなかったりして困った経験はないでしょうか。
Classroomを含めたGoogle Workspace for Educationは、Googleが教育機関向けに提供するクラウドサービスです。学校のパソコンでも自宅のパソコンでも、個人が使用しているスマートフォンでも安全に利用でき、働く場所を選びません。教師は学校以外の場所で課題を作成でき、生徒はその課題で自宅学習することもできます。クラウドに保存されているファイルは共同で編集できるため、ほかの人が作業を終えるのを待つ必要がありません。
Classroomでプリント配布をクラウド化したことで、年間43時間もの時間短縮を達成できた学校もあります。Googleドキュメントに意見を集約して職員会議の時間を短縮することや、フォームの機能を活用して、生徒へのフィードバックと採点を自動で行うこともできます。
今後、AIの進歩によって報告書やメールの返信、複雑なテストの採点もできるようになり、教師の仕事は洗練されていくことでしょう。資料の印刷や課題の管理、成績処理などの業務は自動化されていき、教師は本来行うべき仕事のための時間が確保できるようになります。Classroomの利用はその第一歩になると考えます。
いつでもどこでも、どんな端末からも使用できることに不安を感じる人もいるかもしれません。ですが、Google Workspace for Educationには優れたセキュリティー対策が施されており、非常に高い安全性を保持しています。クラウドに保存されたデータは暗号化され、最先端の暗号化技術を使用して複数の階層で保護されています。
教育を再定義する時期が訪れる
Classroom の活用が進み、教育のDXが起こると授業はどのように変化していくのでしょうか。少なくとも教師が得た知識を生徒に伝えるだけの一方通行の授業はなくなり、「主体的・対話的で深い学び」の実現に到達し、教師の役割が変化していくことでしょう。
教師がClassroomで課題を割り当てると、生徒は情報を検索して分析し、必要に応じて対話を行い、教師はそれをサポートする授業風景に変化するかもしれません。やがて、学校は何のためにあるのか、教室や授業はどのような役割を果たすのか、AIが進化している中で教師にしかできないことは何なのか、それらの問いと向き合い、教育を再定義する時期が訪れることでしょう。