共に寄り添い踏み出す一歩スタートラインまでのサポート 甲斐清和高等学校人間文化コースの環境と特色

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ここからはじまる、夢への一歩

これは、同校のキャッチコピーである。そして、この言葉を非常に体現しているのが人間文化コースだと、私は思う。人間文化コースの生徒たちの目標は人それぞれだ。中学校での出席状況、学習状況がバラバラなので、当然と言えば当然なのだが、「登校する」ということを目標に生活している生徒もいれば、大学への進学を目標にしている生徒もいるなど、同じクラスであってもさまざまである。

北校舎内に設けられた「フリースペース」で和やかに話す生徒たち

私の話を少ししよう。私は中学一年の秋以降、学校に行けなくなってしまった。そこに大きな理由があったわけではないが、一度休みはじめてしまうと、そこから再度、「毎日学校に通う」ということには非常に大きな困難が伴う。実際私も、中学卒業まで教室に戻ることは叶わなかった。不登校だったころ、私はいろいろなことを考え、そのたびにさまざまな痛みを感じていた。「なりたい自分」「理想の将来」がありながらも、不登校という現状によって、そこから日に日に遠ざかっている自分が辛かった。

それでもこの人間文化コースの生徒として入学し、通い始めてからは、毎日登校できるようになった。これは私にとって、人生の転機とも呼べるほど、大きな一歩であった。たった一歩、されど一歩で未来はずいぶん明るくなるものだ。欠けていること、ものはまだまだ多いが、大学受験も目指せる位置に、今、私は立っている。半ば諦めていた夢に向かって、一つひとつ、足りないものを補いながら進んでいる。不登校という経験の上に、今の私は在る。私の中のほんの小さな可能性を、このコースは拾い上げてくれ、無限大のものにまで育ててくれた。つまりここは、私の夢への再出発の地である。

甲斐清和高等学校人間文化コース。それは、新たな「スタートライン」へと導いてくれる場であり、一度つまずいてしまった生徒が夢へと向かう「再出発」の地点なのだ。その先へと踏み出し、夢への旅を歩んでいくのは、あくまで生徒たち一人ひとりである。しかし、不安も抱えた生徒一人ひとりに寄り添い、背中を押してくれる、それがこの人間文化コースである。

(写真:本人提供)

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甲斐清和高等学校 金井慶介(2023年3月現在)

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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