
幅広い生徒が集い、多様な学びの場がある高校
JR甲府駅から南に位置する甲斐清和高等学校は、山梨県内で唯一の音楽科を有する高校である。もう1つの科である普通科には、大学進学を目指す「進学コース」、2年次から「普通クラス」「商業クラス」「福祉クラス」に分かれていく「総合コース」、そして「人間文化コース」がある。また、車で5分ほど離れた場所に通信制課程も設置されている。幅広い学びの場があることから、どんな生徒にとっても自分らしい成長の場が与えられる高校だと言えるのではないだろうか。
「高校」で学ぶために
そんな、どこを切り取っても特色のある同校であるが、その柔軟さが特に表れているのが「人間文化コース」である。このコースに通うのは、さまざまな事情から中学校に馴染めずにいた生徒たちである。そんな生徒たちに対して、高校での学びの機会を提供するために2002年に設立されたのがこのコースだ。そんな背景を持つが故に、他の学校、また同じ高校であっても他のコースとは異なる点が多くある。
まず1つ目は校舎だ。人間文化コースの生徒が通うのは、他の普通科の生徒が通う「本校舎」から少し離れた「北校舎」である。この校舎に入ることができ、授業を受けるのは人間文化コースの生徒だけである。これにより、基本的に顔を合わせるのは同じコース、つまりは同じ悩みを抱えて入学してきた仲間であることから、登校に対する心理的なハードルを大きく下げる効果がある。

また、授業のカリキュラムも独特である。中学校での学習の知識が特に必要となる数学と英語に関しては、「ベーシック数学」「ベーシック英語」という独自の科目を設置し、振り返り学習を行うことで高校での学びに必要な知識を補っている。ここでポイントとなるのが、あくまで高校での学びに主体を置いている点である。もちろん授業のスピードは速くはないが、「中学校からのやり直し」ではなく、「高校での学習のために取り組んでいる」という意識は、生徒の学習に対するモチベーションへとつながっている。
他にも充実したカウンセリングや、習熟度別の授業、少人数でアットホームなクラスとさまざまなサポート体制が充実している。このような環境づくり、学び方に関する工夫によって、中学校に馴染めなかった生徒であっても学校に通いやすく、学習にも意欲的になれるような場が、人間文化コースには用意されているのだ。