そもそもN高等学校・S高等学校とは?
学校の魅力を紹介する前に、少々特殊である同校の紹介をしたい。
正式名称は「学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校」(以下N/S高等学校)。名前の通り、出版社として有名なKADOKAWAとニコニコ動画で有名なドワンゴが作り上げた通信制の高校だ。
生徒数は2万人を超えており、授業はネットを通じて各自のスマートフォンやパソコンから受けることができるため、「ネットの高校」と呼ばれることもある。
かなり特殊な高校であるが故に、魅力的なところも沢山あるのだが、それを全て書いてしまうととても長くなるので今回は主に3つに絞って紹介していきたいと思う。
魅力1:多種多様な学び方と、学べるジャンルの多さ
前述の通り、N/S高等学校は基本的に授業をネットで受ける。
「N予備校」という専用アプリで事前に録画された授業動画を視聴し、レポートもアプリで提出することが可能なため、授業を受ける場所や時間に決まりはない。それぞれの好きなタイミング、好きな場所で学ぶことができるのだ。
登校して授業を受けるスクーリングも年に7日間程度なので、一般的な全日制高校に比べると自由に使える時間がかなり多い。
その時間を活用してアルバイトや部活動に勤しんだり、課外授業を受ける生徒もいる。
課外授業では、中学復習講座や大学受験対策講座といった勉学をサポートする授業の他に、プログラミング・イラスト・Webデザイン・統計学などなど……ここでは書ききれないほど数多くのジャンルを無料で受講できる。このため、少しでも興味のある分野をいつでも気軽に学べる環境が整っているというのが、当校の魅力の1つだ。
魅力2:ネットだけじゃない!リアルでの楽しさも体験できる学園イベントや課外活動
「ネットの高校」と呼ばれている同校だが、だからといってリアルでの活動やイベントが全く無いわけではない。
例えば文化祭は、なんと「ニコニコ超会議」という幕張メッセで開催される大型イベントの一角を借りて行われる。全国各地から生徒が集うため、普段会えない友人や先輩・後輩と交流することができる。
私は文化祭で行う企画の発案や運営をする文化祭実行委員をやった経験があるが、一般的な高校とはかなり違った文化祭(場所が学校ではない、会場での準備期間は1日しかないなど)を企画・運営するという経験はとても貴重なものとなった。
この経験を通して身につけた力の中でも特に、限られた時間で目標を達成しようと考える力は、社会に出てからも役に立つことだろう。
リアルでのイベントは文化祭だけではない。N/S高等学校には「宿泊型職業体験」といって、日本各地で様々な職業を体験することができる課外活動がある。
私は実際に山口県長門市で開催された「イカ釣り漁業体験」と、長崎県波佐見町で開催された「陶磁器づくり体験」に参加した。
どちらも3、4泊現地に泊まり込み、漁師や職人さんに直接話を聞きながらそれぞれの職業を体験できるこの課外活動は、N/S高等学校の立派な魅力だ。
この職業体験のもう一つの特徴は「体験」だけで終わらず、「グループワーク」があるというところだ。
例えば陶磁器づくり体験では、オリジナルデザインのマグカップを作るというグループワークを行った。
ただ好きなデザインを考えるのではなく、「他者に売る」ことを意識しながらデザインを考えるといった内容で、「売る対象はどうしようか?」「より多くのニーズに合ったデザインって何だろう?」など、グループメンバーと共に頭を捻った。
メンバーはほとんどが初対面同士なので話し合いが進まなかったりなどする時もあるが、「あまり関わったことのない人と一緒に何かをやり遂げる」という経験も、社会で活かせる力となるだろう。
実際に会い、同じ体験をして、同じ時間を共有し合う……全日制高校などに通う人には当たり前のことかもしれないが、ネットの高校だからこそ、リアルでの楽しさをより深く感じることができる。これも当校の魅力と言えるだろう。
魅力3:好きなことを好きなだけやれる環境づくり
最後の魅力は、好きなこと、したいことをとことんできる環境が作られているというところだ。
魅力1で紹介した通り、好きなことに割り当てられる自由な時間が多いし、課外授業や魅力2で紹介した職業体験など、興味はあるけどやったことがないものに気軽に挑戦できるという環境も整っている。
書ききれないほどの魅力を3つに絞って紹介してきたが、なによりの同校の魅力は「失敗しても責められない」ところだ。
意識してそういう空気を作っているのではなく、当たり前のように、失敗しても笑って励ましてくれたり、次の挑戦に向けてサポートしてくれる職員や生徒がとても多い。
だから失敗を恐れることなく、様々なことに挑戦することができるのだ。
ここには書ききれないほど多くの魅力に溢れたN/S高等学校。これからも時代の最先端を取り入れながら進化し続けていくことを期待したい。
(写真:本人提供)