「公表見送り」ベンチャーランキングに起きた異変 ユニコーン続出の一方で時価総額重視の弊害も

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「STARTUP DB」が、これまで毎月発表していたスタートアップ時価総額ランキングの公表を取りやめた。背景に何があるのか。

STARTUP DBが1月中旬に公表した、2023年1月版の国内スタートアップ評価額ランキング。上位には、株式の希薄化率が極端に低い資金調達でユニコーンに急浮上した企業が存在する(編集部撮影)

スタートアップの成長力を測る、もの差しが変わる転機となるのか。

スタートアップ関連のデータベース「STARTUP DB」を手がけるフォースタートアップスが、スタートアップ時価総額ランキングの公表を取りやめたことが東洋経済の取材でわかった。同社は2019年から、毎月中旬ごろに当月上旬時点の登記簿情報などを基にした月次の最新ランキングを発表してきたが、直近では1月18日公開の1月版が最後で、2月版は公開されていない。

東洋経済の取材に対し、フォースタートアップスの担当者は「外部からの指摘などを総合的に判断した結果だ。いつランキングの公表を再開するかの見通しは立っていない」と回答した。

発端となったのは1月版のランキングだった。

福利厚生ペイメントサービス「FUKUPE(フクペ)」を手がけるADVASA(アドバサ)の時価総額が、578億円(2022年3月時点)から2301億円に浮上(いずれも新株予約権を含めた潜在株ベース、以下同)。1月版のランキングでは、ロボット・AI分野の技術開発を手がける1位のPreferred Networks(プリファード・ネットワークス)に次ぐ、日本で2番目のユニコーン(時価総額が1000 億円を超える未上場企業)となった。

STARTUP DBは1月版のランキングで、「ADVASAが2301億円で2位に急上昇」とタイトルをつけていた。

評価対象となる資金調達に懐疑的な声も

一方で、ADVASAの資金調達には不明な点が多かった。

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