「令和」の生徒会は学校内民主主義を実現できるか?「脱・お手伝い」で自ら考えて 公立校、約1.7万署名で文化祭を開放した事例も

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生徒自身が学校のあり方を考える「学校内民主主義」へ

かつて生徒会といえば、学校推薦型選抜(旧推薦入試)の自己アピールになるからという理由で取り組む生徒も少なくなかった印象がある。しかし、令和の時代の生徒会は様相が異なるという。

「大学入試の公募制推薦では、『大学で何を学びたいか』が問われる傾向が強くなっていると感じます。生徒会の経験を通じて身に付いたスキルやコミュニケーション能力は入試でも役立ちますが、生徒会役員をやっていたという経歴だけではアピール材料にはなりにくい印象です。生徒たちも、入試のためというより、生徒会活動そのものに魅力を感じて関わるケースが増えているのではないでしょうか」

こう話す川名氏に、吉水氏も続く。

「今の時代、留学や起業など生徒が活躍できるフィールドは学校外にも広がっています。生徒会で中心的役割を担う生徒たちは、そうした多様な選択肢の中で、生徒会を自身の活動の場として選んだわけです。その分、『自分は生徒会でこれをしたい』『学校のここを変えたい』という明確な意思を持っている人が多いように感じています」

一方で、猪股氏は最近の生徒たちを見て、「正解を求め、行儀よくまとまっている“いい子”が増えたと感じる」とも話す。それは生徒会で役員を務める生徒に関しても例外ではないという。

「『学校が決めたルールだから守らなければ』は、民主主義ではありません。現状の生徒会は、教員の意向を生徒たちに周知する役割を担わされている面も否めませんが、本来それは教員がやるべきこと。生徒会の本職ではありません。一人ひとりの生徒自身が、『自分の学校はどうあるべきか』という根本の問題と向き合い、その意見を集約しながら課題解決の方法を探っていく。生徒会が『学校内民主主義』を堂々と象徴する未来を願っています」(猪股氏)

生徒会活動支援協会は、3月26日(日)に全国生徒会大会2023を開催する(リアル・オンラインのハイブリッド開催)。全国の生徒会役員が一堂に集結し、生徒会について考えるイベントだ。また現在、日本全国の生徒会役員個人や生徒会、顧問の先生のうち先進的な活動事例を表彰する日本生徒会大賞2023の応募を受け付けている(4月30日〈日〉24時締め切り)。

生徒自らが学校のあり方を考える「生徒会」は、本来の役割を果たせているのか。学校内外の情報も収集しつつ、一度見直してみる必要がありそうだ。

(文:安永美穂、 注記のない写真: EKAKI / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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