「令和」の生徒会は学校内民主主義を実現できるか?「脱・お手伝い」で自ら考えて 公立校、約1.7万署名で文化祭を開放した事例も

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生徒が自らの学校を自発的に改善し充実させる「生徒会」。問題視された「ブラック校則」や、ジェンダー平等の観点で制服の見直しが進む中で、自治組織としての「生徒会」の役割に期待が高まっている。しかし学校現場では依然としてトップダウン型の意思決定が多く、「学校内民主主義」が形骸化しているケースも少なくない。多様化する社会とコロナ禍の今、令和の生徒会はどう機能すべきか。表彰事業などを通じて生徒会のサポートを行う、一般社団法人 生徒会活動支援協会代表理事の荒井翔平氏、同協会理事の猪股大輝氏、川名悟史氏、事務局吉水隆太郎氏に聞いた。

生徒会経験者らがサポートする「生徒会活動支援協会」

荒井翔平(あらい・しょうへい)
生徒会活動支援協会代表理事
2009年に生徒会活動支援協会を立ち上げ、生徒会活動に関わるさまざまな支援に取り組む。日本シティズンシップ教育学会広報担当理事、国際交流機構理事、私立大学環境保全協議会運営委員などを務める
(写真:本人提供)

2009年に設立された「生徒会活動支援協会」。その立ち上げメンバーで現在は代表理事を務める荒井翔平氏は、当時の生徒会に「引き継ぎの難しさ」という問題意識を抱えていたという。

「生徒会役員など個人に蓄積されていたノウハウや人脈は、彼らの卒業と同時に失われてしまいます。いかに生徒会活動の質を高め続けるか、と考えたとき、生徒会の後方支援チームが必要だろうという結論に至りました」(荒井氏)

吉水隆太郎(よしみず・りゅうたろう)
生徒会活動支援協会事務局
会社員。高校在学時(早稲田大学高等学院)は、中央幹事会(生徒会)の幹事長として活動、全国高校生徒会大会実行委員なども務めた​
(写真:本人提供)

同協会は、大学生、社会人、教員、生徒会で役員を務める現役の高校生など、多様なメンバーで構成されている。かつて生徒会役員を務めたメンバーも多く、当時の経験と大学生活・社会人生活での知見を生かしながら、生徒会活動の支援を行う。主な内容は、生徒会活動の表彰、地域での生徒会ネットワークの構築や交流活動のサポート、インターネット上で生徒会活動に関する情報提供を行う「生徒会.jp」の運営などだ。表彰事業で代表的なのが、年に1回の「日本生徒会大賞」。全国各地の学校生徒会・生徒会団体・生徒会役員を対象に、活動内容や組織体制などを評価している。

「日本生徒会大賞」の審査基準について、同協会事務局の吉水隆太郎氏は「活動成果の多寡や話題性よりは、達成までのプロセスが民主的であるかという点に着目しています」と話す。

「私たちは、生徒会活動の価値とは『何かを成し遂げるための民主的なプロセス』自体にあると考えています。一部の熱心な生徒だけが活動するのではなく、全校生徒の意見を吸い上げるシステムをつくり、総意としてまとめていく点が重要なのです」(吉水氏)

「ブラック校則」問題に見る「主権者教育」の重要性

日本では戦後、民主主義の浸透を目指して各学校に生徒会がつくられた。同協会が民主的なプロセスを重視する理由もここにある。しかし現在では多くの学校が、国や教育委員会の方針を、教員から生徒へ伝えるトップダウン型の意思決定をしており、生徒自身の意見や希望が反映される組織体制はとられていない。これをもって、「学校内民主主義」の形骸化を指摘する声もある。その象徴が、学校側が一方的に理不尽なルールを課す「ブラック校則」だろう。

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