春休みが明ければ、学校は再開される。そう思っていた矢先の緊急事態宣言の発令だった。学期末のまとめに加えて、新学年の学習内容をどう自宅で学んでもらうのか。休校の長期化を念頭に、慌てて対策を講じることになった自治体、学校は多かっただろう。
つくば市といえば、「教育日本一」を目指し、なんと40年も前から義務教育にICTを導入している先進的な自治体だ。その当時から、個別に最適化された学びをICTで保障するという、現在のGIGAスクール構想に通じる視点を掲げていたというから驚かされる。
コロナ禍の休校に際しては、どのように対応し、どんな課題に直面したのだろうか。ほかとの大きな違いは、すでにつくば市にはeラーニングシステムが導入されていて、それを使って休校時の家庭学習を進められたことだ。
一方、N高は、角川ドワンゴ学園が2016年に設立した通信制の高校だ。“ネットの高校”と称されるように、卒業に必要な授業をオンラインで受けられるのが特長である。休校による影響が日本全国で最も少なかった学校といっても過言ではないだろう。
だが休校により、多くの学校がオンラインで授業をやらなければならない局面に立たされたとき、N高が持つオンラインで授業を行うための知識、経験、ノウハウに一気に関心が高まった。
新型コロナの感染拡大は、いまだ収束の兆しが見えない。これから迎える秋冬における再流行が早くも懸念される中、たとえ学校が休校になっても子どもたちの学びを保障する環境の整備が早急に求められている。
そこで、ここでは現役東大生でベストセラー作家の西岡壱誠氏を中心に休校時の教育現場の混乱や試行錯誤を振り返り、ICTとの向き合い方を考える。そしてwithコロナ、afterコロナの学びのあり方を探った。ぜひ、参考にしていただきたい。