米中の新たな火種となった気球問題。両国とも軍事衝突を望んでいないが不測の事態すらありうる。

米戦闘機に撃墜され、洋上で回収される中国の気球(写真:Mc1 Tyler Thompson/Us Navy/Planet Pix/ZUMA Press/アフロ)
2月3日、米国務省高官が、同月に予定されていたブリンケン国務長官の中国訪問を延期すると表明した。中国の気球が米国本土上空を飛行していたことが理由で、国務省は「明白な主権侵害と国際法違反だ。受け入れられない」としている。
中国の偵察気球は1月28日、米国とカナダの上空に飛来した。しかし、米バイデン政権はすぐにこの偵察気球に対応したわけではない。それどころか当初は中国の気球が米国上空を飛行していることを公表しておらず、2月2日になって明らかにした。同4日、気球が大西洋上に出たところで、米戦闘機F-22の空対空ミサイルによって気球は撃墜された。
気球は2月2日、ネット上に公開されて話題となり、テレビ番組でも取り上げられた。米国政府は対応せざるをえなくなり、中国の偵察気球が米国上空を飛行中であることを公表したようである。米国社会は中国の侵略をイメージして強く反応。共和党議員は中国に好き勝手に情報を収集させているとしてバイデン大統領を弱腰と非難したため、バイデン政権は中国に対して強い態度に出たと見受けられる。
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