不登校を認めない「父親」の罪、原因見ず「甘え」と怒れば子は「引きこもり」に 経験者語る「葛藤」と陥りやすい思考、役割は?

※ 2022年文部科学省 「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
「不登校」という事実に惑わされる父親
学校に行きたくない、行けない──。
わが子にそう言われたとき、つい父親がやってしまいがちなのが、子どもを無理やり学校に行かせる、母親に「引っ張ってでも行かせろ」と圧力をかけるなどだ。『「とりあえずビール。」で、不登校を解決する』の著者でコピーライターの蓑田雅之氏はこう話す。
コピーライター。息子は「東京サドベリースクール」に通っていた。「もう不登校で悩まない! おはなしワクチン」の活動のほか、著書に「もう不登校で悩まない! おはなしワクチン」「『とりあえずビール。』で、不登校を解決する」(びーんずネット)がある
(写真:蓑田氏提供)
「一般的にはお母さんのほうが子どもと接する時間が長い傾向にあるので、子どものふとした表情や変化に気づきやすい。『これ以上無理に学校に通わせるのはよくない』と直感で確信します。しかし、平日の帰りが遅く土日しか子どもと話さないお父さんは、子どもの内面的な心の動きに思いが至らず、『学校に行っていない』という事実自体に焦って怒りを感じ、子どもやお母さんに圧をかけてしまうことが多いんです」
ふだん会社でも数字や客観的事実を基に状況を判断するからか、父親はつい外面的な部分を重視してしまいがち。また、社会で求められる能力を痛感しているからこそ、「学力や学歴、円滑な人間関係を身に付けるためには学校に行かなければならない。でないと、将来苦労するはずだ。弱いままでどうする──」などと考えてしまうのだろう。
「これも親心ではあるのですが、不登校の中には心に傷を負っている子もいます。大人の社会であれば、心を病んで休職している人に『会社に来い』とは言いませんよね。それなのに、子どもには『甘えたことを言うな』『学校に行け』と怒ってしまう。内面を見ず、とにかく『不登校という事実』を何とかしようとしてしまうのです」
蓑田氏は、不登校の親の心境を「霧のような漠然とした不安に包まれた状態」と説明する。とくに母親は子どもと長く接するうちに、子どもの不安や鬱(うつ)を自分にも取り込んでしまい精神的に追い詰められるケースも多い。そんなときこそ、父親が一定の距離を保った立場から冷静に対処することが求められる。

















