不登校を認めない「父親」の罪、原因見ず「甘え」と怒れば子は「引きこもり」に 経験者語る「葛藤」と陥りやすい思考、役割は?

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「僕が不登校に関する講演や地域活動を行う中で、お母さんから聞いた話で驚いたのが、『子どもが不登校であることを父親に隠している』『子どもと父親が互いに拒絶をしている』というものです。一般的な不登校の始まりは、学校での居場所を見失うことです。そんな中で、家はいちばん安心できる居場所である必要があります。家族の新しい絆をスタートさせる機会と捉えて、まずは、困り事を素直に言える環境を整えてほしい」

わが子の不登校に直面した父親がやるべき3つのこと

それでは、父親が心がけるべきこととは具体的に何か。蓑田氏と市川氏が共通して挙げた3つの項目を紹介しよう。

① 子どもとの対話

蓑田氏
話を否定せず、受け止めて肯定することです。子どもをいつまでも未熟だと思っていると、つい『それは違う』と言いたくなる。でも、これからも子どもに話してほしいなら、日頃から何があっても、どんな小さなことも聞く姿勢をとってください。日々忙しい父親でも、この関係性は不登校になってからでも築けます。親の変化は子どもにもちゃんと伝わるので、「言ってもどうせ叱られる」と思われる人から、「この人には話しても大丈夫だ」と思われる人になってください。
同時に『絶対にやってはいけないこと』もあります。それは、ゲームを取り上げること。不登校で自信を失った子どもにとって、ゲームは唯一、自己肯定感を救ってくれるものです。それすら取り上げられると子どもは絶望の淵に追いやられてしまう。どうしても口を出したいなら、『お父さんはゲーム依存症や視力の低下が心配なんだけど、どう思う?』と、お子さんと一緒に考えてみましょう」
市川氏
「子どもとの対話の中には必ず、子どもの深層心理や本心のヒントがあります。そのメッセージを聞き逃さないよう、つねにアンテナを張ることが大切です。その姿勢は子どもにとっても、『見放されていないんだ』という安心感につながります。とはいえ、無理に子どもの趣味に合わせる必要はありません。付け焼き刃の会話は見透かされますから、それよりも父親自身が楽しむ様子を見せて、『働くだけが大人じゃないんだ』と大人になることへの希望を持たせてあげてください。大人になってからも変化できる、いろいろな生き方がある、と肌で感じることで子どもも前向きになります」

② 情報収集

蓑田氏
「『情報』は闇を照らす懐中電灯です。調べれば、学歴はいつでも取れること、学校以外にも学ぶ場があること、枠にとらわれないさまざまな生き方などが見つかります。ただし、『成功例』ばかりに気を取られると、『わが子がこうならなかったらどうしよう』と新たな悩みができてしまう。子どもの幸せを決めるのは子ども自身ということは忘れないでください」
市川氏
「子どもが不登校になったとき、親は『認めたくない』と葛藤します。この葛藤からいち早く脱するカギが情報収集です。男性は物事を事実や理屈で理解する傾向にあります。そこで不登校も、数字やデータで捉えると見方が変わります。例えば、不登校の児童・生徒が約24万人いると知れば、『自分だけではなく、全国的な課題だ』と冷静に考えられるようになります」
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