不登校を認めない「父親」の罪、原因見ず「甘え」と怒れば子は「引きこもり」に 経験者語る「葛藤」と陥りやすい思考、役割は?
③ コミュニティー参加
「地域の『不登校の親の会』などコミュニティーに参加するのは有効です。ただし、中にはカウンセリングと称して法外なお金を請求したり、引きこもりの『引き出し屋』など子どもに過度な負担をかけたり、さらには宗教勧誘を行うなど悪質な団体もあるので要注意です。こうした見極めは、たくさんの情報を仕入れる中で身に付きます」
(写真:蓑田氏提供)
「他の人と話すと、『悩んでいるのは自分だけではない』と気がつきます。大切なのは孤立しないこと。人と関われる場はたくさんあります。その地域やコミュニティーが、将来子どもが生きる場所になるかもしれません。ただ現状では、こうした場に参加するのはほとんどがお母さん。妻に連れてこられる形では、父親も何となく居心地が悪かったり、いよいよわが子の不登校を認めるようで気が進みません。そんなときは案外、父親1人で参加すると本音と向き合えるものです。不登校の父親に限定した場も参加しやすいでしょう」
(写真:市川氏提供)
親が、自分や家族のあり方を見つめ直すタイミング
子どもの不登校では、親自身の価値観や人生観をも問われる。現実を受け入れ、家族とも自分ともじっくりと向き合うことは、「親にとっても『生き直し』『学び直し』になる」と蓑田氏は指摘する。「社会」で必要だと思っていた能力や地位が、実は「会社」でのみ必要とされていたにすぎないこと。「こうあらねば」という思い込みに自分もとらわれていたこと。それに気づき、しがらみから解放されて楽になる親も多いそうだ。
市川氏も、「不登校は家族のあり方を見つめ直すよいきっかけになる」と話す。加えて、親も新しい出会いや知見を得て活動の幅が広がるなど、親自身が新たなスタートを切るタイミングになるという。
現在、全国に約24万人いる不登校児童生徒。その数だけ、悩みや葛藤を抱える親と家族の形がある。もちろん、父親が理解を示す一方で母親がなかなか受け入れられないケースや、ひとり親で奮闘しているケースもあり、一くくりにはできない。特効薬が存在しないからこそ、子どもとの対話・情報収集・コミュニティー参加を重ねて、一歩ずつ、進むべき道を照らしていく必要がある。
(文・吉田渓、注記のない写真:ノンタン / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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