テストも宿題も、ノルマも比較もない小学校「ヒロック初等部」の現在地 目の前の子どもから直接教わることの大きさ

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できないことがある子にもやさしいです。遅刻しがちな子や掃除をしない子がいても、これっぽっちも責めたりなんてしません。自分ががまんしてやっているわけではないし、その人が楽をしていようが苦手なことがあろうが、直接的には自分には被害はないわけですから、それもそうだよなぁと感じます。連帯責任とか、忍耐を強要したりするから、結果的に手を抜いたり、できないことがある人に腹が立つのかもしれません。

蓑手章吾(みのて・しょうご)
HILLOCK(ヒロック)初等部 校長
公立小学校で14年勤務した後、2021年3月に東京・世田谷にオルタナティブスクール、ヒロック初等部を創設、22年4月に開校。専門教科は国語。特別支援学校でのインクルーシブ教育や発達の系統性、学習心理学に関心を持ち、教鞭を執る傍ら大学院にも通い、人間発達プログラムで修士号を取得。特別支援2種免許を所有。プログラミング教育で全国的に有名な東京・小金井の前原小学校では、研究主任やICT主任を歴任するなどICTを活用した教育にも高い関心と経験を持つ。著書に『子どもが自ら学び出す!自由進度学習のはじめかた』(学陽書房)、共著に『before&afterでわかる!研究主任の仕事アップデート』(明治図書)、『知的障害特別支援学校のICTを活用した授業づくり』(ジアース教育新社)、『個別最適な学びを実現するICTの使い方』(学陽書房)などがある
(撮影:今井康一)

同時に、子どもは誰かの役に立ちたいとも思っています。面倒くささ以上に、自分の能力が何かの役に立ったり、誰かが喜んでくれたりすることのほうがうれしい。大人の何倍もうれしいのでしょう。損得勘定や掛け値なしに、貢献したいとうずうずしています。

時には、友達を傷つけてしまったり、他者を不快な気分にさせたりもします。しかしその99%は、傷つけることや不快にすることが目的ではないんですよね。不器用だったり、慣習を知らなかったり、相手の気持ちを推測できなかったりするだけなんですよね。

私たち大人は、つい事実だけを見て「なんでそんなこと言うの!」「本当に嫌なことばかりして、いじわるね!」なんてジャッジしてしまいがちですが、もっと子どもの心に目を向けて、どんな動機や願いがあるのかを感じ取る練習をしなきゃいけないなと、自戒を込めて感じます。

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