10月会合では金融緩和修正につながる議論なし 中途半端な政策変更好循環妨げると複数委員指摘
日本銀行が10月27、28日に開いた金融政策決定会合で、複数の委員は2%の物価安定目標を持続的・安定的に達成する上で「中途半端に政策を変更すると物価と賃金の好循環を妨げるリスクがある」との見解を示した。12月会合で決めた金融緩和策の修正につながる明確な議論の形跡はなかった。議事要旨を23日に公表した。
日銀は20日の会合で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策における長期金利(10年国債金利)の変動許容幅を従来の上下0.25%程度から同0.5%程度に拡大することを決めた。黒田東彦総裁は緩和修正に踏み切った背景について、国債市場の機能が低下し、イールドカーブにゆがみが生じている中で、企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがあることを挙げた。
ほぼ1カ月半前に行われた10月の前回会合では、執行部が「日本国債のイールドカーブは金融市場調節方針と整合的な形状となっている」とし、社債市場は「総じて良好な発行環境となっている。企業の資金調達コストは、極めて低い水準で推移している」と説明。ある委員も外部資金の調達環境について「社債金利の上昇等はあるが、総じてみれば良好」との認識を示した。
長期金利は当時の上限である0.25%にほぼ張り付く動きとなっており、1人の委員は「市場機能にマイナスの影響を与える面もあるが、現在、長期金利が低位で推移していることのマクロ経済に及ぼす便益が大きい」と指摘した。ある委員は債券市場の安定性確保は重要とし、「引き続き、モニタリング等を通じて市場の状況をきめ細かく把握する必要がある」と語った。