メルカリ、後発でもあえてクレカ事業参入の狙い 高還元率の「メルカード」でメルカリ利用も促進

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メルカリFintech事業戦略発表会
クレジットカード事業「メルカード」をお披露目したメルカリFintech事業戦略発表会(提供:メルカリ提供)
フリマアプリで有名なメルカリだが、ここ数年、金融関連事業を強化している。2019年以降はスマホ決済サービスのメルペイに注力し、コード決済(QRコードやバーコードによる決済)を全国に浸透させた。
次に挑むのは、2022年11月より開始したクレジットカード事業のメルカードだ。ただ、クレジットカード業界は、銀行やIT企業など多様な業種の競合がひしめき合うレッドオーシャン。後発のメルカリに勝機はあるのか、日本事業責任者の青柳直樹氏に聞いた。

 

──多くの消費者はすでに他社のクレジットカードを利用しています。大規模な経済圏を構築している「楽天カード」など競合環境が厳しい中、後発参入に勝機はありますか。

購買店舗やサイトによって、2枚以上のクレジットカードを使い分けている人は多いため、新規参入の障壁はあまり感じていない。そもそも「楽天カード」も、参入する前からクレジットカードは普及していたが、ECサイト「楽天市場」や高還元キャンペーンを武器に浸透していった。われわれも強力なCtoCマーケット(個人間の取引)であるメルカリを利用してメルカードを普及させていく。後発参入でも決して不利ではない。

──クレジットカード事業では、独自の「AI与信」も掲げています。

AIを活用した与信は今まで3年間やってきて、ノウハウが身についてきた。こだわったのが、その人に見合った融資枠を設定できるかということ。他社での債務状況も確認した上で、かなり保守的な基準を設定している。

逆に、われわれのデータでは支払い能力があると判断しているのに、既存のカード会社や金融機関の基準では審査が通らない人たちもいる。こういう人たちには積極的に融資していきたいと考えている。SNSを見ていると、なぜ審査が通ったのか、あるいは通らなかったのかといった驚きの声もあるが想定通りの反応だ。

──クレジットカード事業は将来的に単体でも利益に貢献するのでしょうか。

次ページ先行してメルペイのコード決済の普及に注力した理由
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