海外旅行の物価高対策、「ドミトリー」のすすめ 高級ホテル1泊分の値段で1週間滞在できる

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部屋は男女混合が多く、ベッドにカーテンも何もないケースが多々ある。更衣室もない。では利用者はどうしているのか。

先日、ラオスのドミトリーの下段でくつろいでいると、上段にイギリスから来たというひとり旅中年女性がやってきた。すると、スカートを脱ぎながら「あなたはどこから来たの?」「私はタイのチェンマイから来たけど、タイ北部の人はとても親切だった」などと話し始めた。

私にしてみれば「タイの人が親切なのは分かったから、まず着替えを完了しなさい」と思うのだが、彼女はスカートを脱いでも下着ではなく「長めの水着」のようなパンツを履いていて、それを部屋着にしているのである。

男の人も、下着ではなく水着のようなパンツ姿の人が多く、上半身裸で歩き回っている。

シャワールームにも更衣室部分があることは少なく、扉を開けるといきなりシャワーというのが多い。プールや中庭があることが多いので、このようなスタイルが便利なのかもしれない。宿泊施設では自宅にいるような感覚でくつろいでいるのである。

ドミトリーに泊まると、世界各国の人の旅行スタイルが垣間見られる。キッチンでの自炊は、日本を知るうえで重要な体験である。たとえば、日本の玉子は黄身が極めて壊れにくい(海外ではフライ返しを利用の際に黄身が壊れる可能性大)。日本の食器洗剤は「泡立ちがよく水切れがよい」など、日本のよさも見えてくるのだ。

高級ホテル1泊分で1週間泊まれる

世界的にひとり旅が多くなり、海外では「ソロ・トラベラー」という言葉が一般的に使われるようになったので、ドミトリーは需要が高まっている。高級ホテル1泊分の宿泊費で1週間くらい滞在できるので、積極的に利用してはいかがであろうか。

安全な国を選び、物価の高くない国でドミトリーを利用すれば、意外なほど海外旅行も容易に感じるであろう。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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