JR東海の危機、リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ、現職は不出馬表明

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現在、静岡県境まで約920mまで山梨県内の掘削工事が進んでいると説明、その先端部分で大量湧水の発生などは確認されておらず、「締め固まった地質で安定している。断層帯は静岡県境の西側にある」として、JR東海は高速長尺先進ボーリングで先行調査しながら、県境まで掘り進めていく予定を示した。

県専門部会で高速長尺先進ボーリングの是非についての結論は得られなかったにもかかわらず、難波氏は11月9日付の要請文で、高速長尺先進ボーリングが静岡県内の地下水に影響を与えるおそれがあるとして、回避策を示すよう求めた。つまり、高速長尺先進ボーリングをやめろということである。

井川地区の代表者から県の姿勢に対する批判も飛び出た県リニア環境保全連絡会議(静岡県庁、筆者撮影)

11月30日開かれた静岡県中央新幹線環境保全連絡会議で、県地質構造・水資源専門部会の森下祐一・部会長が「高速長尺先進ボーリングは水抜きのために使われる。前方の地質がわかるとJR東海は説明しているが、岩中の一部がわかるが、地質のごく一部で、科学的なデータが得られるわけではない」などと難波氏の要請文に沿った発言をした。

前日、29日の会見で川勝知事が難波氏の要請文を取り上げ、「高速長尺先進ボーリングではなく、垂直でのコアボーリング調査を行う必要がある」と強調した内容と同じだった。

高速長尺先進ボーリングの必要性は?

ところが、森下部会長の発言に対して、トンネル工学を専門とする安井成豊委員は「高速長尺先進ボーリングは調査ボーリングとして開発された。(森下氏は)誤解しているのではないか」などと専門的な知見を交えて反論した。

今回新たに委員に加わった村上正志委員(群集生態学)も「専門性は高いが、安井委員の主張はよくわかる。トンネルを掘る場合、科学的に議論するのがスタンスであり、地表から何本も(垂直でコアボーリングを)打つのはムリだ」など他の委員も、森下部会長の見解に異議を唱えた。

30日の県リニア環境保全連絡会議の議論だけでなく、JR東海の金子慎社長、大井川流域の島田、藤枝、掛川、牧之原の市長らも高速長尺先進ボーリングを事前調査として必要だという認識を示している。

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