JR東海の危機、リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ、現職は不出馬表明
さらに11月11日の難波氏の出馬会見で、清水港に関連した有力企業の責任者ら6人が顔をそろえ、地元経済界は難波氏支援を見せつけた。
田辺氏の不出馬によって、有力な自民系候補が現れなければ、リニア問題は大きな転換点を迎えることになる。「反リニア」川勝知事だけでなく、リニアトンネル工事の現場を抱える静岡市が「反リニア」を掲げることになるからだ。
約20年前、難波氏は運輸省(現在の国土交通省)港湾局企画官時代に川勝知事と懇意となり、一般的な役所ルートではなく、個人的な指名を受けて2014年5月副知事に就任、2022年5月まで2期(8年間)務めた。
岡山県出身で、静岡県と何の縁もなかった難波氏が静岡市長となれば、最大の恩人は川勝知事となる。副知事時代、清水港への多額の公共事業などを決めている。今後も県とのパイプ役を経済界は期待するから、川勝知事との深い関係を断ち切ることなどできるはずもない。
となれば、「反リニア」に奔走する川勝知事と難波氏が連携を組むことは明らかである。
川勝知事は「難波氏を応援しない」と言うが…
川勝知事は、市長選で難波氏を応援しないと明言している。これは表面的な話であり、水面下の応援まで否定しているわけではない。
11月11日に続いて、29日の会見で、リニア問題で果たした難波氏の業績について、「市長選に出馬することを念頭に仕事をした」とたたえ、今後の連携に含みを持たせた。
特に、「いわゆる高速ボーリング(高速長尺先進ボーリング)に横串を刺す、明快な説明文書をJR東海に送った」などと難波氏の要請文を取り上げ、「やるべきことは、全部やられた」と高く評価している。
県リニア問題責任者として最後にJR東海へ送った「高速長尺先進ボーリング及びトンネル掘削に伴う大井川の水資源への影響について」という難波氏の要請文は、川勝知事の“横串を刺す”という表現通りのもので、今後の連携を象徴するものとなった。
難波氏は、先行調査を役割とする高速長尺先進ボーリングを串刺しにして刺し貫くほどに厳しく否定したのだ。
高速長尺先進ボーリングは先行調査ではなく、掘削工事の一部という川勝知事の指摘がそのままに文書になっているからだ。
10月31日県庁で開かれた県地質構造・水資源専門部会では、「静岡県境に向けた山梨県内の工事をどの場所で止めるのか」決定する必要があるとして、JR東海に山梨県での工事の進捗状況の説明を求めた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら