「海外大学への直接進学」を狙う中高生が知っておきたい8つの評価と併願事情 高額学費も「奨学金増加」でチャンス広がる

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海外大学と日本の大学の併願が成功する仕組み

上述のとおり、日本の大学と海外の大学では評価される項目が異なる。しかし、日本での受験勉強と海外に向けた受験勉強は、「まったく別のものというわけではない」と尾澤氏は語る。

「当塾の塾生は7〜8割が日本の大学も受験しています。併願先として多いのは、東京大学と早稲田大学と慶応大学。東大には7割程度が合格し、早稲田や慶応はほとんど合格します」

評価項目が異なるにもかかわらず、なぜこのような結果が出るのか。

「海外の名門大学を受験するには高校時代の成績が重要です。海外のトップクラス大学を志望する受験生は、ベースとして高校時代にしっかり勉強しているので、日本の大学受験にも対応できるのです。また、TOEFL®︎などは海外用の試験だと捉えられがちですが、TOEFL®︎で高得点を取れる力があれば、大学入学共通テスト、東大の2次試験や私大入試にも十分通用します。日本の大学受験のためにまるきり新しい準備が必要なわけではないのです」

裕福でなくても「奨学金」で海外大学の門戸が開く

海外の大学を目指していても、最終的に進学を断念する生徒もいる。直接進学ではとくに高額な学費がネックとなるのも事実だ。

「米国の私立大学の学費は高額で、年間で約700〜800万円かかる場合もあります。しかし近年は、柳井正財団 海外奨学金プログラムや笹川平和財団スカラシップなど、海外大学を志す人のための給付型奨学金が増えており、特段裕福な家庭でなくてもチャンスは広がっています」

ほかにも、希望の大学に届かなかった、治安への懸念で親に引き止められた、海外大学のハードな授業に不安を感じたなど、進学を諦める理由にはさまざまな事情があるが、尾澤氏は彼らにも大きなアドバンテージがあると話す。

「生徒にはすでに英語力や課外活動に取り組む力がありますし、面接やエッセーも対策済み。そのため日本の大学に進学後、希望する海外大学への留学を狙いやすいのです。交換留学の選考で優秀な成績を収めて、海外の名門大学に通う夢をかなえる生徒もいます。同様の理由で就職も比較的スムーズにいく印象です。卒業生を見ていると、中高生の時から海外を目指す大切さを実感しますね」

早くから海外大学への直接進学を意識し、主体的に英語力を高めながら学校内外の活動やコンテストにも積極的に挑戦する。進学後は、多様なコミュニティーの中で興味のある学問の最先端を学ぶ。そんな選択肢が当たり前のものとして広まる未来も、遠くはないのかもしれない。

(文・吉田渓、注記のない写真:ゲッティイメージズ)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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