海外教育移住で注目、世界最高水準「シンガポールの教育環境」が理想的な訳 ローカル校とインター校の特徴、その費用とは
(写真:花輪氏提供)
シンガポールのインター校の多くは、3歳から18歳までの一貫教育です。日本人を含む多くの外国人が私立であるインター校を選択します(日本人学校も私立)。PISAで首位の中国からの留学生も多く、母子留学や安全な国なので子どもだけを渡航させる家庭も増えているようです。
インター校のデメリットは、何といっても教育費の高さです。年間の学費は200万〜450万円程度です。学校により、年間の学費が200万円前後のところと、400万円前後のところがあります。さらに年々インフレで数%ずつ授業料は上昇傾向です。学費の違いは教員の給料の差だと聞いたことがあります。欧米から先生を派遣する場合、駐在パッケージを支払う必要があります。これに対して、近隣諸国から英語ができる先生を雇う場合、節約ができるのだと推測されます。また、後述しますが、サポート面で学費の差が出ると推測されます。
シンガポール教育省によれば、ローカル校の小学校の費用は永住権保有者の学費で月2万5000円程度、外国人の場合は月8万5000円程度です。ローカル校は国民に対しては学費が安いのですが、外国人にとっては日本の私立くらいの学費の設定となっています。加えて、中国語やハイレベルの教育についていくためにチューターを雇うことは必須で、月に10万円以上を支払うこともザラにあります。そのために、割安料金のインター校と同じくらいの学費になることもあるのです。
入学したら全力で学校の資源を使ってサポートをしてくれる
わが家は1歳からシンガポールに住んでいたという利点を生かして、早期から御三家といわれるインター校に入れました。幼少期から入る場合、親が記入する書類だけを見る学校もあるからです。
学年が進むと子どもの英語力を含めた学力を見る学校もあり、人気校は入ることが難しくなります。下から入った場合は学力が芳しくなくとも、学校は決して子どもたちを見捨てることはありません。それどころか涙が出るくらいのサポートを子どもに対しても親に対しても施してくれます。
例えば、EAL(English as an Additional Language)プログラムです。インター校に通うほとんどの子どもが多言語話者で、家庭では2つ以上の言語でコミュニケーションを取っていると回答しています。このプログラムは社会的・学問的な目的で英語を学んでいる子どもを支援するものです。
子どものレベルに合わせて、EALの教師がクラスに入る、子どもをクラスから出して別教室で学ばせるなどサポートが分かれます。メインのクラスから子どもができる限り分離されない形でサポートを提供する体制が取られているんです。EALの授業風景を見てもインドや中国やスペイン語圏の子どもたちと学んでいるなど日本人で固まっているというのは見られません。クラスで日本人の子どもがいる場合も英語で会話をしているようです。これに加えて、算数などのラーニングサポート、スピーチセラピー、大勢の前で話すことが苦手な子どもに対するプレゼンテーションのクラス、などさまざまなサポートがあります。
日本だと特別支援学級として別にされがちなメンタルヘルスに軽度な問題を抱えた子どもへの支援も手厚いです。セラピーを紹介してくれたり、学校のカウンセラーがサポートをします。また、トップクラスの子どもに対する特別教室もあって、算数などが著しくできる子どもは別教室で授業を受けることができるなどがあります。

















