快走するアップルの新兵器 iPad2の破壊力!
「2」が押し下げたパソコンの成長予測
別売りのアクセサリーとして、専用カバーもラインナップされた。日本では「まるでお風呂のふた」とも評された巻き取り式カバーだ。
「A5プロセッサーの立ち上げ負担を考えると、旧アイパッドと同等価格で売ることは難しいはず。ポリウレタン製で39ドル、本革製で69ドルもする専用カバーはそうとうの利益率のはずで、ここが隠れた稼ぎ頭になるのではないか」(ITアナリスト)との見方もある。
このほか、別売り新製品としてHDMI端子を通じてテレビにアイパッドの映像を高画質のまま映すことができるケーブルを39ドル、マック向けの人気動画編集ソフト「アイムービー」、音楽制作ソフト「ガレージバンド」のアイパッド版を、それぞれ4・99ドルで発売する。これらは初代アイパッドでも利用可能だ。
地味な進化を遂げたアイパッド2は、パソコン市場にも大きな影響を与えると見られている。
米調査会社のガートナーはアイパッド2発表直後の3月3日、2011~12年のパソコン出荷台数予測を下方修正した。当初11年の世界の出荷台数を前年比15・9%増と予測していたが、10・5%増の3億8780万台に引き下げ、12年については14・8%増から13・6%増の4億4060万台へと修正した。その理由についてガートナーは「先進国の個人ユーザーがアイパッドのようなタブレット端末を購入するケースが増えるため」と解説している
なぜパソコン市場を食うのか。アイパッドではインターネットやメールはパソコンと同じように利用できるうえ、マックで利用される定番ソフトのうち、ワープロ、表計算、プレゼンなどビジネスの定番ソフトが使える。こうなると、ライトユーザーは「パソコンを買わなくてもアイパッドだけで十分」となっていくのだ。
過去10年のアップルの飛躍を支えたのは、「ポストパソコン製品」だった。01年には音楽再生機の「アイポッド」、07年には新しい多機能携帯電話の「アイフォーン」、そして10年にアイパッドを発売している。中でも、最もパソコンと似通った使われ方をするアイパッドがポストパソコンの本命だ。それだけに、ジョブズCEOはトップシェア維持に並々ならぬ情熱を注いでいる。