「マンション漏水事故」の95%は給湯管ピンホール 保険加入拒絶、住人同士の大喧嘩にスラム化も

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代表的な事例が「給湯管」のピンホール事故なのです。銅でできている給湯管が経年変化によって劣化し、小さな穴が開いてしまうことで起こります。

もちろん、共用部や専有部の「給水管」や「排水管」が劣化し、そこから漏れた水や排水が住戸内に流入する被害や、どこからか雨水が住戸に流れ込む被害も、水回りの設備がダメになる現象に含まれます。

それでも「漏水事故の95%は上階の給湯管ピンホール」事故です。漏水が発生し、それに対応する設備工事会社の経験値がまさにコレなのです。

多くの高経年マンションで、建て替え議論が始まる発端となる「水回りの設備がダメになる」ことが、実は9割方「給湯管のピンホール事故の多発」を意味していることに、結びつけて認識されていないのです。

なぜ事故情報が共有されないのか

ところが、多発しているのにとにかく情報がない。報道記事はもちろんのこと、専門家が書いた書籍もありません。調べて出てくるのは、せいぜい設備工事会社によるブログレベルのものです。なぜこんなに情報がないのでしょうか。

「ピンホール事故は必ず専有部分で起きるから」です。専有部分とはマンションの区分所有者が単独で所有権をもち、管理責任を負っている部分ですので、事故の情報を共用部の管理を担うマンション管理組合では共有しにくいのです。

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