[Book Review 今週のラインナップ]
・『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』
・『格差社会の宗教文化 「民衆」宗教の可能性を再考する』
・『あなたはどこで死にたいですか? 認知症でも自分らしく生きられる社会へ』
・『雷神と心が読めるヘンなタネ こどものためのゲーム理論』
[新書紹介 3分で4冊!サミングアップ]
・『エネルギーの地政学』
・『仏教の大東亜戦争』
・『鉄道ビジネスから世界を読む』
・『縄文人と弥生人』
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
ポスト冷戦時、米国は国際紛争に軍事介入していたが、国際金融危機で疲弊した後は、必ずしも介入しなくなっていた。2014年のクリミア危機に続き、ウクライナ戦争でも米国は介入を見送った。ウクライナが同盟国ではなく、侵略国のロシアが核保有国だからだというが、このウクライナモデルは、果たして台湾に適用されるのか。
日本を代表する国際政治学者7人の、この戦争の影響などに関する論稿を集め緊急出版。ブックレット様だが、上下2段組、深い洞察を得られる1冊だ。
極東有事を前提に日本は何を学べるか
戦争勃発後、ロシア弱体化を目指し、日本はG7各国と緊密に協力して、経済・金融制裁に踏み切った。ただ、追随したのは主に先進国で、多くの新興国は中立にとどまり、先進国、中ロ、大多数の新興国という三極構造が生じた。
サウジアラビアやイスラエル、トルコなど親米だった国々もしたたかに中立を決め込む(池内恵)。中国などを通じた制裁の抜け穴があるだけでなく、物価高という返り血を浴びたG7各国では政権支持率が低迷し、制裁疲れの広がりが懸念される(鈴木一人)。
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